ドキュメンタリー映画『金福童(キム・ボクトン)』の全国上映

『金福童』は女性人権運動家であり平和運動家だった旧日本軍慰安婦被害者の金福童さんの話を描いたドキュメンタリー。1992年に日本軍慰安婦被害者だと初めて名乗り出た金福童さんが2019年に亡くなるまで、日本の謝罪を受けるために闘争した27年間の長い道のりを描いている。

監 督:宋元根(ソン・ウォングン)
 出 演:キム・ボクトン、ハン・ジミン(ナレーション)
 音 声:韓国語
 時 間:約101分
 予告編1:https://youtu.be/TyMO_5L97kg
 予告編2:https://youtu.be/h_GMQhBKHKg

女性人権運動家・金福童さんの4周忌(2023年1月28日)を迎えるにあたり、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動 はドキュメンタリー映画『金福童』の全国上映を展開します。是非、お近くの会場に足をお運びください。

東京1/21、大阪1/28、神戸1/28、滋賀1/29、広島2/4、京都2/25、川崎3/25、北海道5/27

宋元根(ソン・ウォングン)監督来日
東京・大阪・神戸・滋賀上映会で宋元根(ソン・ウォングン)監督のあいさつ・トークがあります。
※上映会を開催したい方は下記へ
 i_zenkokukoudou@yahoo.co.jp
 
壮絶な生があり、希望に満ちた死があった。
その死を悼んで「女性人権運動家・金福童市民葬」には6千人が集まった。
人々はなぜそれほどまでに彼女を慕い、敬い、その死を惜しんだのか。
その理由が今、明かされる。
日本軍性奴隷の被害を乗り越えて、人々に平和と希望の尊さを訴え続けた金福童。
韓国映画『金福童』は、その闘いの軌跡だ。

<金福童さんについて>
 14歳で連行され、中国、シンガポール、インドネシア等の戦場を連れ回された。1992年、周囲の反対を押し切って名乗り出た。
2010年より、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)のシェルター「平和のウリチプ(我が家)」で暮らして以降、その発言と行動力で人権活動家と呼ばれた。
2012年3月8日、国際女性デーに吉元玉(キル・ウォノク)ハルモニとともに「ナビ(蝶)基金」を設立。コンゴ、ウガンダ、ナイジェリア、シリアなどの紛争地で性暴力被害に苦しむ女性や、ベトナム戦争の時、韓国軍による性暴力被害に遭った女性たちを支援。
2015年の「日韓合意」には、「お金で歴史を売った」と抗議し、政府を提訴するなど先頭で闘う。
病に苦しみながらも、朝鮮学校の子どもたちを支援しようと「金福童の希望」基金を設立し、亡くなられる直前まで日本を訪れ子どもたちの羽ばたきを励ました。

●日本社会で続く少女や女性への暴力、性的搾取の現状に暗澹たる気持ちになる時、金福童さんを思い出す。金福童さんの勇気と愛と、諦めずに闘う姿を。諦めてはいけない、諦めたら、なかったことにされる。金福童さんは全身でそれを教えてくれた。(仁藤夢乃・一般社団法人Colabo代表)

●長期に亘る安倍政権が強いた絶望はどれほどのものだったか。それでも、金福童さんは声をあげ、希望を掴もうとした。だから、私たちは諦めるわけにはいかないのだ。金福童さんの最期の闘いを、鮮明に強く、残していこう。(北原みのり・希望のたね基金理事)

〈上映スケジュール〉
①東京
■ドキュメンタリー映画『金福童』東京上映会
〇日時:2023年1月21日(土)19:00~21:00(開場18:30)
〇会場:なかのZERO小ホール 中野区中野2-9-7 
    中野駅(JR・地下鉄東西線)南口から徒歩約7分)
地図→https://www.nicesacademia.jp/zero/access/
上映後トーク 
・夏衣麻彩子(映画監督)×梁澄子(ヤン・チンジャ、キボタネ代表)
・宋元根監督のトークがあります。
〇参加費:一般 1000円 学生、障がい者500円
〇チケット
Peatix  https://kimbokdongmovie.peatix.com 
〇主催:戦時性暴力問題連絡協議会/日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
〇お問い合わせ
Mail: eiga.kimbokdong@gmail.com

②神戸
■ドキュメンタリー映画『金福童』神戸上映会
〇日時:2023年1月28日(土)15:00~17:00
〇会場:こうべまちづくり会館
〒650-0022 兵庫県神戸市中央区元町通4-2-14
    元町駅(JR・阪神)西口から西へ10分
    みなと元町駅(地下鉄海岸線)西1出口から北へ2分
    花隈駅(神戸高速)東口から南へ3分
    西元町駅(神戸高速)東口から東へ5分
    地図→https://tinyurl.com/4zzys9pz
・アフタートーク 
 平井美津子さん「被害者の証言を子どもたちにどう伝えるか」
・宋元根監督とのトークミーティング
〇参加費:一般 1000円 学生、障がい者500円
 Facebook https://fb.me/e/337y8RZAx
〇主催:「慰安婦」問題を考える会・神戸/日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
〇お問い合わせ TEL;080-3100-2100 
Mail;kobe_kangaerukai@yahoo.co.jp

③大阪
■映画『金福童』上映&梁澄子さんのお話
〇日時:2023年1月28日(土)13:00(開場12:30)
〇会場:ドーンセンター ホール(7階)大阪市中央区大手前1-3-49
〒540-0008 大阪市中央区大手前1-3-49
    京阪・地下鉄谷町線「天満橋駅」から徒歩5分
    地図→https://tinyurl.com/yt3hw4rc
・上映後お話 梁澄子さん(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表、希望のたね基金代表)
・宋元根監督のあいさつ
〇参加費:一般 1000円 学生、障がい者500円
Peatixでもチケットを販売します。一般 1000円、学生、障がい者 500円 https://kibou0128.peatix.com/
主催 主 催:日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
    http://www.ianfu-kansai-net.org/
    日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
お問い合わせ:info@ianfu-kansai-net.org
HP:http://www.ianfu-kansai-net.org/

④滋賀
■ドキュメンタリー映画『金福童』滋賀上映会
〇日時:2023年1月29日(日)14:00~(開場13:30)
・上映後、宋元根監督とともに意見交流会を行います(自由参加) 
〇会場 滋賀県立男女共同参画センター(G-NETしが)1階 視聴覚室 
〒523-0891 滋賀県近江八幡市鷹飼町80-4
    JR「近江八幡駅」南口より徒歩10分、バス:近江八幡駅南口から近江バス→『男女共同参画センター前』下車
    地図→https://tinyurl.com/5n7vbh6h
〇参加費 前売券800円 当日券1000円 学生・障害者500円
※前売券はスタッフから、または「チケットぴあ」で購入を。下記問い合わせ先までお名前と連絡先を伝えて予約もできます。座席数に限りがあるのでご注意ください。
Pコード552608 [セブンイレブン店頭購入が手数料もかからず便利]
http://ticket.pia.jp/pia/event.ds?eventCd=2239349
主 催:日本軍「慰安婦」問題を記憶・継承する会・滋賀
    https://www.facebook.com/keisyo814shiga
    日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
問合せ:keisyo814shiga@gmail.com
    FAX 077-562-6086
    TEL 090-7105-7093
https://www.facebook.com/keisyo814shiga

⑤広島
■ドキュメンタリー映画『金福童』広島上映会
〇日時:2023年2月4日(土)13:30~16:30(開場13:00)
会 場:合人社ウェンディひと・まちプラザ マルチメディアスタジオ(北棟6F)
    〒730-0036 広島県広島市中区袋町6-36
    広電「袋町」電停から徒歩約3分
    地図→https://tinyurl.com/y6uw38dc
上映後トーク:方清子(パン・チョンジャ)さん(全国行動事務局長)
〇参加費 一般 1000円 学生・障がい者 無料
主 催:日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク
    日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
〇お問い合わせ
TEL:090-3632-1410
Mail:ianfnet.hiroshima@gmail.com

⑥京都
ドキュメンタリー映画『金福童』京都上映会
〇日時:2月25日(土)18時30分(開場18:10)
〇場所:アバンティ響都ホール(客席定員 362名)
https://www.ryukoku.ac.jp/ryudaihall/facility/index.html
〇一般 1000円  学生 500円
       前売りはチケットぴあで前日まで購入可
      (Pコード:552751)※1月11日以後
〇上映後のトーク こっぽんおりの活動紹介その他。
〇書籍販売等あり。
主催:朝鮮学校と民族教育の発展をめざす会・京滋(こっぽんおり)/日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
〇連絡先: mezasu_hakkyo_k@yahoo.co.jp
      https://www.facebook.com/mezasu.hakkyo.k/

⑦ドキュメンタリー映画『金福童』川崎上映会
日 時:2023年3月25日(土)14:00~16:30(開場13:30)
会 場:川崎市総合自治会館・ホール(武蔵小杉駅前)
    〒211-0063 神奈川県川崎市中原区小杉3丁目600番
    JR・東急「武蔵小杉駅」西口から徒歩2分
    地図→https://tinyurl.com/msfrj44m
上映後トーク:梁澄子(ヤン・チンジャ)さん(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表・希望のたね基金代表)
参加費:前売り800円 当日1000円 学生500円
主 催:川崎から日本軍「慰安婦」問題の解決を求める市民の会
    日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
お問い合わせ:080-3494-2411
       keikopeace@sand.ocn.ne.jp

⑧北海道(日時のみ決定。詳細は現時点では未定)
〇日時:5月27日(土曜)時間未定

ドキュメンタリー映画『金福童(キム・ボクトン)』の全国上映
https://www.restoringhonor1000.info/2022/11/blog-post_23.html

金福童 日本軍「慰安婦」問題解決全国行動及び、レイバーネット日本のwebサイト記事より

2022年ベストテン 菅沼正子

1、FLEEフリー
 壮絶、悲惨のひと言。難民としてアフガニスタンからデンマークに亡命した青年の激動の人生を描く。登場人物たちの安全を守るため、名前と場所を1部変更、さらにアニメーションで描いている。
2,ドリームプラン
 世界最強のテニスプレイヤー、ビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を、世界チャンピオンに育て上げるまでを描く。父親役のウィル・スミスがアカデミー賞主演男優賞受賞。
3,アイアム・ユアマン
 ブルーの瞳のハンサムなアンドロイドに恋した少女。AIと人間の恋。人類への重い問いかけだ。
4,Codaコーダ あいのうた
 耳の聞こえない家族の中で、1人健聴者の少女。歌手への階段を昇っていく娘。父親は娘が歌う喉に指を当て、その振動で歌のうまさを感じとるシーンに涙。
5,バッドガイズ
 家族で楽しめるアニメーション。イソップの寓話と同類。ハートとユーモアがいっぱい。感動の涙もいっぱい。
6,カモン カモン
 ビタースイートなヒューマンドラマ。家があり、家族や友達を大切にすることがハッピーの秘訣。
7,わたしは最悪
 女と男の愛の風景ノルウェー版。文化が違えば、恋愛のしかたも映像の表現も違う、異彩を放つ。
8,ミセス・ハリス、パリへ行く
 ディオールのドレスに恋した家政婦の話。夢を手にするまであきらめない人間力に拍手。
9,秘密の森の、その向こう
 各国の映画祭で高い評価を得ている作品。3世代をつなぐ奇跡の物語。少女たちの生き生きした演技。
10,スワン・ソング
 有終の美を飾って人生を終えたい、そのテーマに賛成。
次点 私の好きな「ライ麦畑でつかまえて」のサリンジャーに支えられた話で、内容は自分探しの旅でもある。

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(C)Final Cut for Real ApS, Sun Creature Studio, Vivement Lundi!, Mostfilm, Mer Film ARTE France, Copenhagen Film Fund, Ryot Films, Vice Studios, VPRO 2021 All rights reserved


日本映画の部

1,荒野に希望の灯をともす
 2019年12月4日、アフガニスタンで何者かの凶弾で命を奪われた医師・中村哲さん。混沌とする時代の中で輝きを増す中村医師の生き方を追うドキュメンタリー。
2,長崎の郵便配達
 決して戦争をしはいけない。ノーモア広島、ノーモア長崎、ノーモア被爆者と、世界に平和へのメッセージを送ろう。
3,スープとイデオロギー
 人気監督ヤン・ヨンヒが自身の家族と北朝鮮の関係を描く。命の尊さ、運命には逆らえない愛の力が切々と伝わる。
4,土を喰らう十二ヵ月
 山荘で暮らす作家。庭で育てた野菜と山で拾い集めた木の実での料理。贅沢な生活。キャストも人気スター揃い。
5,護られなかった者たちへ
 3・11震災から10年目の仙台が舞台。生活保護受給に関して画一的にしか回答しない行政の無慈悲に一刀。
6,鳩のごとく蛇のごとく 斜陽
 太宰治「斜陽」執筆75周年記念映画。太宰治大ファンのわたし、斜陽は夢中で読んだ。いまだに6月19日の桜桃忌には三鷹まで行く。この作品にも満足。
7,風の電話
 3・11の震災を題材にしたヒューマンドラマ。命の尊さと人間の善意が胸にしみる。岩手県大槌町に実在する<風の電話>が人々の心をつなぐ。
8,ある男
 愛したはずの夫は全く別人だった、という衝撃のヒューマミステリー。愛と過去を巡る複雑なストーリーだけにオールスターキャストの感。
9,月の満ちかけ
 愛する人にもう1度会いたいという願いが起こす奇跡。
10、ハウ
 “ハウ”としか鳴けない犬ハウ。そのハウを飼ってる素朴な青年。ある日ハウが行方不明になり…、さあハウどうする?

2022 ベストテン よしだまさし

昨年観た作品から好きな作品をフィリピン映画以外で5本、フィリピン映画で5本を順不同でピックアップしてみました。フィリピン映画はすべて日本未公開の作品です(カッコ内の数字は、日本未公開作品は本国での公開年、日本公開作品は日本での公開年)。

『RRR』(インド/2022年)
 問答無用の超絶エンターテインメントで、2022年のベストワンは本作で決まり。

『消えゆく燈火』(香港/2022年)
 しみじみといい作品でした。シルビア・チャンが実にいい。もういい歳なんだけど、さりげなく可愛いんですよ。ほんとにもう、素晴らしい女優だと、それしか言葉が出てこない。
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(C)A Light Never Goes Out Limited

『呪詛』(台湾/2022年)
 昨年観た中で最も怖かった作品。この後味の悪さは、絶品です。

『トップガン マーヴェリック』(アメリカ/2022年)
 前作は、ストーリーなどなきに等しいにもかかわらず、映像だけでたっぷり酔わせてくれた作品だったのだけれど、まさかその続篇で泣かされようとは思いませんでした。

『グレイマン』(アメリカ/2022年)
 こんな凄いアクション映画を映画館のスクリーンではなくNetflixで観てしまうなんて、実にもったいない経験をしてしまった。これは映画館で観るべき作品でした。

『ANG BABAENG WALANG PAKIRAMDAM(無痛症の女)』(フィリピン/2021年)
 昨年は、ダリル・ヤップという新鋭監督との出会いが最大の収穫でありました。世の良識派の方々が眉をひそめるような題材を好んでとりあげていながら、映像センスは抜群にオシャレという、いままでのフィリピン映画で観たことのないタイプの監督なのです。
 本作は、先天性無痛症で、しかも子どもの頃から母親に感情を抑えるように育てられたせいで、痛みを感じることができないだけでなく、あらゆる感情というものも失ってしまった女性が、口唇裂でおかしなしゃべり方しかできない男性と旅をしていくという作品。あまりにも衝撃的なラストシーンに、しばし呆然としてしまいました。

『GLUTA』(フィリピン/2021年)
 続いて本作もダリル・ヤップ監督の作品。フィリピンの少数民族アエタ族の少女が大学のミスコンテストに挑戦するという物語。ちなみに、アエタ族というのは、背が低く、色が黒く、髪の毛がチリチリという、ミスコンからはほど遠い容貌の一族なのです。
 ミスコン優勝を夢見ながらも、アエタ族に生まれたというだけで貶められるヒロインの心情に、いたたまれない気持ちにさせられながらも、ひたすら明るい主人公の生き方に泣かされる作品でありました。

『A HARD DAY』(フィリピン/2021年)
 韓国映画『最後まで行く』のリメイク。車で人をひき殺してしまった刑事が、その時から何者かによる脅迫電話で追い詰められていくという物語。主人公を演じるディンドン・ダンテスと、悪徳刑事を演じるジョン・アルシリアという名優同士の激突でグイグイと見せられてしまう。本格的なハードボイルド映画の少ないフィリピンなのですが、本作は見事なまでのハードボイルド映画でした。

『ULAN(雨)』(フィリピン/2019年)
 なんとも不思議な雰囲気を持った映画でした。基本は若い女性の恋愛映画なのだけれど、その画面には延々と雨が降っている。そして、日常的な描写の中に、唐突に幻想的な映像がはさみこまれるのです。幼い主人公が森の中で神話の中の生物が結婚式をあげている場面に遭遇したり、小学校の同級生が割れた卵となってひっくり返ったり、祖母の白髪を抜いていると髪の毛の中から第3の眼が現れたりと、突然、びっくりするような映像が登場してくるのです。その幻想的な世界は、やがてクライマックスにおける驚愕の悲劇へと繋がっていくのですが……。
 フィリピン映画で、この手の幻想的な作品というのはちょっと珍しいのではないでしょうか。

『Island of Desire』(フィリピン/2022年)
 フィリピンでは幻想的な作品は少ないと言いながら、これまた幻想的な映像の連続する不思議な映画でした。交通事故で病院に運び込まれたヒロインが謎の島に辿り着いて、そこで不思議な体験を繰り返していくという作品。死にかけているヒロインが観ている幻想か、あるいは死にかけているヒロインが辿り着いた死後の世界の物語なのだろいうというのは、観ているこちらにもわかるのだけれど、この意味不明の物語がいったいどこに行き着くのかという興味でグイグイとラストシーンまで引っ張られてしまいます。監督はベテランのジョエル・ラマンガン。

 昨年はこうした新作の他に、ウォルター・ヒル監督やメル・ブルックス監督などの古い作品をあれこれと見直していたのですが、やはり面白い映画は何度観ても面白いですね。昨年の裏ベストテンは、何度観ても素敵なこんな作品たちでした。


『カサブランカ』(アメリカ/1946年)
『プロデューサーズ』(アメリカ/1967年)
『激突!』(アメリカ/1973年)
『ヘルハウス』(アメリカ/1974年)
『スローターハウス5』(アメリカ/1975年)
『ブレージング・サドル』(アメリカ/1976年)
『ウォリアーズ』(アメリカ/1979年)
『ストリート・オブ・ファイヤー』(アメリカ/1984年)
『Baby Tsina』(フィリピン/1984年)
『クロスロード』(アメリカ/1987年)

【国立映画アーカイブ】上映企画「日本の女性映画人(1)――無声映画期から1960年代まで」

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「日本の女性映画人(1)――無声映画期から1960年代まで」
日本における女性映画人の歩みを歴史的に振り返る


会期:2023年2月7日(火)-3月26日(日)(休映日:月曜日および3月18日(土))
会場:国立映画アーカイブ 小ホール[地下1階]
主催:国立映画アーカイブ
協力:協同組合 日本映画・テレビスクリプター協会
HP:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/women202212/
問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

チケット
1月31日(火)以降、毎週火曜日10:00amより、翌週(火~日)上映回の電子チケットを当館HPより公式チケットサイトにて各回の開映15分前までオンライン販売。
チケットの窓口販売など購入方法の詳細はHPをご確認ください。
〈料金〉一般:520円/高校・大学生・65歳以上:310円/小・中学生:100円/障害者(付添者は原則1名まで)・キャンパスメンバーズ・未就学児・優待:無料

◆国立映画アーカイブよりのご案内◆
上映企画「日本の女性映画人」では、日本における女性映画人の歩みを歴史的に振り返り、監督・製作・脚本・美術・衣裳デザイン・編集・結髪・スクリプターなど様々な分野で女性が活躍した作品を取り上げます。従来の日本の製作現場では男性が圧倒的多数を占めており、スタッフとして貢献した女性たちの存在の多くはこれまで見過ごされてきました。
 本企画は、Part 1として、無声映画期から1960年代以前にキャリアを開始した女性映画人80名以上が参加した作品を対象に、劇映画からドキュメンタリーまで、計81作品(44プログラム)を上映する大規模な特集上映となります。近年再評価が進んでいる、女性監督第1号の坂根田鶴子、女優から監督に進んだ田中絹代や望月優子、脚本の水木洋子や田中澄江、編集の杉原よ志、衣裳デザインの森英恵のみならず、多様な領域で手腕を発揮した女性映画人たちにスポットライトを当てます。
 また、戦前の日本映画の黄金期に大手映画会社で健筆をふるった鈴木紀子(1909-1985)を中心として、戦前の女性脚本家の小特集も行います。
 脈々と築きあげられてきた女性映画人たちの歴史を掘り起こし、その仕事を見直すことによって日本映画への新たな視座が切り拓かれることを願っております。


☆見どころ☆
▼無声映画期から戦後にかけての女性脚本家たちの活躍
 戦後には文芸映画を中心に女性脚本家の活躍が目立ちましたが、無声映画期には幅広いジャンルで女性たちが執筆しており、剣戟時代劇を多作した林義子や社喜久江、松竹蒲田で母ものや少女ものに携わった水島あやめを取り上げます。また、無声映画期から戦中にかけて活躍した鈴木紀子は、『チョコレートと兵隊』(1938、佐藤武)や『花つみ日記』(1939、石田民三)などの秀作を手がけました。そして、戦後にデビューした水木洋子、田中澄江、橋田壽賀子、楠田芳子、和田夏十らが個性豊かな作品群を送り出しました。

▼戦前から専門職として確立されていた結髪やスクリプターに注目
 無声映画期には、撮影所に女優が誕生するよりも先に結髪部の女性スタッフが定着していました。 増淵いよのと伊奈もとは、1917年から日活向島で女形の結髪を手がけて以来、戦後にかけて活躍しました。 また、製作現場での記録を担当するスクリプターは女性採用がある限られた職種でしたが、戦前から女性が主力の専門職として確立され、40年以上の長いキャリアを歩んだケースや、スクリプターを出発点に監督やプロデューサーなどへ進んだケースもありました。 日本の女性スクリプター第1号と推定される坂井羊子はじめ、戦前からの草分けである三森逸子、鈴木伸、藤本文枝、城田孝子から、戦後にデビューした中尾壽美子、秋山みよ、宮本衣子、野上照代、白鳥あかね、梶山弘子、高岩禮子まで、日本映画黄金期の多大な貢献に光を当てます。

▼文化・記録・教育映画で手腕を発揮した女性監督たち
 戦前より先駆的活動をした脚本家の厚木たか以降、文化・記録・教育映画の発展を背景として1950年代から女性監督たちが実績を上げていました。科学映画で定評のあった中村麟子、岩波映画でデビューして活躍した時枝俊江と羽田澄子、教育映画の西本祥子、PR映画なども含め幅広く手がけたかんけまり、人形アニメーションの神保まつえ、さらに1960年代に監督デビューした藤原智子と渋谷昶子を取り上げます。

★上映作品の詳細は下記でご確認ください
企画HP:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/women202212/#section1-2


2022年 ベスト映画 米原 弘子

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(C)2022「PLAN75」製作委員会 / Urban Factory / Fusee

昨年映画館で鑑賞した75本の中から邦画、外国映画10本ずつ選出しました。

【邦画】
①PLAN75
真面目に働き命を全うすることがまるで罪のようになってしまった日本。決して絵空事ではなくPLAN75を選んだ方が幸せなのではないかと思わせる国にもうすでになっているのではないかと戦慄。亡くなった人たちの持ち物を担当労働者が分別するシーンはホロコーストを想起。全日本人必見の問題作。
②ちょっと思い出しただけ
男女が付き合った数年間のある一日だけを取り出して時間を巻き戻していく。笑いあった日も喧嘩した日も宝物のように思えるのは今この時が幸せだから。二度と戻れない過去があるから今が尊い。『私たちのハァハァ』に続く松居監督の傑作。伊藤沙莉のハスキーボイスが心地よく心に響く。
③ケイコ 目を澄ませて
ろう者のケイコには聞こえない「音」に神経を集中させているといつのまにか彼女の人生や思いが心に流れ込んでくるような不思議な感覚に陥る。気づけば彼女の表情一つ一つを逃さぬよう見つめている。他者を思う時「澄ませて」いることが大切ということだろうか。良作。
④戦慄せしめよ
豊田利晃監督が撮った太鼓芸能集団「鼓童」の姿。89分言葉は一切なく、あるのは太鼓の音色のみ。陶酔感がひたひたと押し寄せてきてハッと気づいた時には終わっていた。こんな映画の楽しみ方があるのだと感動。佐渡に深く根付く歴史の重みまで感じた。筋肉美も堪能できる。
⑤さかなのこ
儚さと芯の強さを併せ持ち、微かな狂気も秘めているのん。性別を超える主人公を違和感なく受け入れられたのは彼女が演じたからこそ。”好き”のパワーが生む光の面だけでなく苦みや影の部分も描いているのがいい。映画がもたらすミラクル!良作。
⑥ヘルドッグス
セリフの何割かは聞き取れない、正直役者もメインキャスト以外顔の区別がつかない、、といった状況にも関わらず格闘シーンの芸術的美しさに観終わった後の満足感半端なし。素晴らしかった。あれだけのアクションを自ら演じながら監修も担当する岡田准一の底知れぬ才能に舌を巻く。
⑦キングダム2
圧巻の戦場アクションで前作超えの面白さ!何よりちゃんと中華映画になっていることに感嘆。メインを演じる若手を支えるベテランがそれぞれの持ち味を十分に生かしていて安心感がある。特に渋川清彦の正しき使い方に痺れてしまった。「鎌倉殿の13人」で刺客トウを演じた山本千尋が存在感を発揮。
➇スープとイデオロギー
家族と北朝鮮の関係を描いてきたヤン・ヨンヒ監督が自身の母を追ったドキュメンタリー映画。「済州4.3事件」のことはほとんど知らなかったので再現アニメーションで描かれる壮絶さに言葉を失う。認知症で辛く悲しい記憶が徐々に消えていく母親と寄り添う監督の姿に涙しかなかった。
⑨ハケンアニメ!
アニメ制作現場を舞台に、ゼロからイチを生み出すプロたちが矜持をかけてモノづくりに挑む。妥協なき姿勢から互いを認め合い受容していく展開に胸が熱くなる。好きという気持ちの大切さ、エンタメの素晴らしさ。仕事頑張ろうと思えた。
⑩川っぺりムコリッタ
仏教用語で48分を指すムコリッタ。ゆっくりお風呂に入ったり、誰かと一緒に炊き立てのご飯を食べたり、語り合ったり、懐かしいあの人を思い出すのにちょうどよい時間。そんな時が一日の中で持てればなんとか死ぬまで生きられるかもしれないと思った。富山の景色が美しい。

【外国語映画】
①ハッチング 孵化
怪物のヨダレが糸引く映画は傑作と相場が決まっている。母娘の癒着関係がもたらす悲劇は気持ち悪さも程よく面白かった。私としては怪物より小さなおっさんみたいな弟の方が不気味だったが。血縁関係のない一番怪しそうな男が一番まっとうだったというのも意外で良かった。
②声もなく
裏稼業で死体処理を請け負う唖者の男が女児誘拐事件に巻き込まれる。彼のいる決して甘くない世界を時にユーモラスに描きながら、先の読めない不穏さに終始ドキドキ。切なくやるせないラストだったが彼女の強さにホッとした思いも。主人公を演じたユ・アインが素晴らしかった。
③カモン カモン
言葉は使い方によって人を傷つけ取り返しのつかない亀裂を生じさせる。しかし言葉でしか自分の気持ちを伝えられないのも事実。それは大人も子供も関係ない。だからこそ相手の言葉に真摯に耳を傾ける、ジャッジしない、ただ心を寄せる、、難しいなぁ。モノクロで映るアメリカの景色が美しい。良作。
④コーダ あいのうた
両親、兄がろう者、自分だけが聴者の17歳の少女。高校に通いつつ家業を手伝い、聞こえる世界との橋渡し役として手話通訳も担ういわゆるヤングケアラーだが決して可哀そうな子として描かず美化もせず、人生をたくましく切り開く生き方に焦点を合わせていることに好感を持った。
⑤ナイトメア・アリー
因果応報を映像化した破滅への道のり。嘘と虚栄にまみれたブラッドリー・クーパーが地獄に引きずり込まれる姿を見るのはいたたまれない気持ちになる反面快感もあり。ケイト・ブランシェット他、脇を固める役者も最高。ギレルモ・デル・トロ監督の素晴らしきノワール。大満足。
⑥アネット
冒頭の長回しワンカットで心を鷲掴みにされ以降は唖然茫然。日本の怪談噺にも通じる最低男がたどる地獄道をミュージカル仕立てで描く怪作で、想像以上に凄かった。賛否あるだろうな、私は大好きだけど。生身のアネットを演じた少女の一瞬の表情からあふれる色気と狂気、歌声に鳥肌。
⑦秘密の森の、その向こう
祖母を亡くした少女が同い年の母と出会う時空を超えた物語。楽しいクレープ作り、森の小屋でのひととき。二人だけの時間を重ねるうちに互いが抱える孤独が少しずつ癒される。今は亡き母の小さくなった体をタオルで拭きながら彼女の幼き頃の姿を想像した時のことが蘇った。良作。
➇FLEE フリー
アフガニスタン難民の男性が経験した逃亡の過去を難民保護のためにアニメーションで描いたドキュメンタリーで、実写よりも観る者の想像力を掻き立て壮絶さが生々しく身に迫る。たった今もこのような世界に生きている人たちがいる、、、決して他人ごとではない。
⑨LAMB/ラム
冷え冷えとした大地、不穏さが漂う灰色の白夜世界に突然現れるその異質なものを通じ、神聖視されがちな母性と父性は排他的エゴイズムの極致であることを炙り出す。想像力を掻き立てられる演出と描写。これから羊を見る度にこの映画を思い出すはず。
⑩女神の継承
信仰に対する揺らぎ、カルマ思想、高湿度、、それらがうねりながら一つになり、恐怖の権化となってじっとりと観る者の神経にまとわりつく。怒涛の後半戦、もうどう反応していいかわからず、マスクの下でずっと笑っていたと思う。ベスト10に入れないわけにはいかなかった大傑作

以上ベスト10のほかに
私にはどうしても順位がつけられなかった作品として
『RRR』『マスター 先生が来る!』『スーパー30 アーナンド先生の教室』『響け! 情熱のムリダンガム』『ボクサーの愛』のインド映画5本を挙げておきます。
インド映画が地方でもシネコンでかかる時代がやっと来ました! 感無量です。