2019年ベストテン 菅沼正子

 2020年が2月に入ったのに、今さらベストテンなんてと思ったが、やはりベストテンの記録は残しておきたい。選出するあの苦しみと楽しさ、ワクワク感を逃したくない一心で2019年を振り返りたい。毎年同じことを言うが、順位はあってないようなもの、気にしないでほしい。

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(C)Studiocanal GmbH Julia Terjung

外国映画の部
1,僕たちは希望という名の列車に乗った
 ベルリンの壁ができる以前の1956年の東ドイツの物語。遊びに行った西ベルリンの映画館で、ハンガリーの民衆蜂起を伝えるニュース映像に衝撃を受けた2生徒の提案で、犠牲者に黙祷を捧げたため、退学処分問題に発展するる。生徒各自の葛藤。青春の痛みと熱さを描く実話。
2,グリーンブック
 アカデミー賞作品賞受賞作。アメリカ南部をツアーする天才黒人ピアニストと彼に運転手として雇われたイタリア系の用心棒的な男との凸凹旅行がおもしろい。タイトルの「グリーンブック」とは、黒人が利用できる旅行ガイドブックのこと。黒人差別はアメリカの永遠の課題か。トランプ氏がいう”アメリカ・ファースト”に有色人種は除外されてると私は思う。
3,ガンジー島の読書会の秘密
 戦争の不条理を描いた感動作。人と人の心をつなぐ本の力のすばらしさが分かる。ラストは泣ける。泣く映画大好き。
4,トールキン 旅のはじまり
 「ロード・オブ・ザ・リング」の原作者トールキンの前半生を描く。前線で自分も意識もうろうなのに、親友を気づかうトールキン。彼の作品の原点を見る。
5,ちいさな独裁者
 権力を手にした人間がいかにして怪物的な独裁者に変貌していくのか。権力という魔力、人間の弱さをえぐり出す衝撃作。
6,少女は夜明けに夢をみる
 イラン発の社会派ドキュメンタリー。首都テヘランにある少女更生施設が舞台。彼女たちは家よりも更生施設のほうがいいという、なんとも悲しい実話。
7,ビリーブ 未来への大逆転
 アメリカの最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの自伝的映画。アメリカ史上初の<男女平等>裁判に勝利したことで有名。
8,存在のない子供たち
 レバノン映画。このところ中東情勢のニュースが多いが、映画も中東地域が元気。主人公の少年は戸籍がない。だから学校に通うこともできない。法的には社会に存在を認められていない子どもなのだ。そこで少年は「僕を産んだ罪」で両親を告訴する。社会の理不尽さに悲しみは感じていても、心は折れていないことを証明する、その目の輝きと笑顔のすばらしさよ。
9,ゴッホとヘレーネの森 クレラー・ミュラー美術館の至宝
 無名時代のゴッホの絵に魅せられた女性ヘレーネの生き方に拍手。余裕があったらこの美術館に行きたい。
10,運び屋
 大好きなクリント・イーストウッド監督・主演作。高齢になってますます魅力が増してきた。充実した人生。次回作も期待。
次点 マイ・ブックショップ
 1959年のイギリス。書店が1軒もない町で書店を開業する女性の生き方を描く。電子書籍時代になった現代、昔ながらの書店に敬意を表して。

日本映画の部
近年の日本映画の素晴らしさ!製作本数も多いし、そのクォリティの高さ。とはいえ、外国映画ほど見ていないから、ベストスリーで、ごめんなさい。
1,半世界
 中学からの同級生男3人の友情と、日常や葛藤を描いた奥行きの深い人間ドラマの秀作。監督・阪本順治。出演=稲垣吾郎、長谷川博己、渋川清彦。
2,記憶にございません
 これぞ三谷幸喜監督と思わせる爆笑コメディ。笑いだけでなく、鋭い視線で政治もチクリ!
3,男はつらいよ お帰り寅さん
 日本の盆と暮れの風物詩になった”寅さんシリーズ”。渥美清さんが亡くなりしばらく途絶えていたが50本記念として復活。シナリオの巧みさで、過去のフッテージから渥美清の寅さんの出番となる。とはいえ、現在の高齢化社会を見つめた老人ホームに焦点を当てているのもスゴイ。
 

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