2017年 マイ シネマ ベスト10! 飯田 眞由美

2017年、還暦を迎えました。で、晴れてシニア料金でチケットを購入できる立場になりました。
で、平日の映画館に行くとシニア様がいっぱい。ちょっとしたデイ・サービス状態です。介護予防のためにも、せっせと通うつもりです。
さて、10位です。『ラ・ラ・ランド』。正統派ミュージカル映画がかえって新鮮だったけど、ストーリー自体は平凡だったので、この位置になりました。

9位は『ギフテッド』、分かりやすい感動物の作品なのだけど、この手の、子の成長をテーマにした作品は、母親の育児方針が兎角悪者にされて、それが鼻についてしまった。子役の演技に脱帽。

8位に『バグダッド・カフェ』。観ずにいた名作を、テレビで堪能しました。主題歌のCalling Youは、歌だけで聴くより、映画の中で聴くほうがずっとステキだった。

7位、『ノクターナル・アニマルズ』。劇中劇の高速道路での煽り行為からの犯罪が、映画公開時に日本で起こっていたためか、ストレートな宣伝がされなかったと思う。そういう点で不遇な作品。

6位『僕のワンダフル・ライフ』は犬好きにはたまらない映画。原題の意は〈ある犬の目的〉ってことだけど、要は人間が犬に望む犬の存在意義ってこと。犬はただ犬として生きているのだろうけど、犬を幸せな家族の象徴として映画に登場させたがる米国人は、犬は人間をハッピーにさせる使命を持っていると信じているみたいだ。映画を観た後、我が家のワンコがとっても愛おしくなったっけ。

5位には『希望のかなた』を選びました。北欧を舞台にしたシリア難民青年と彼を支援する人々を描いてヒットしました。エピソードに日本と寿司が出てくるのだけれど、日本って外国にはこんな風に思われているのねと、苦笑してしまったが、外国映画がその中で他国を描いているときは、それ自体を疑わなければと思い知らされました。

第4位。『MERU/メルー』。メルー峰登頂を目指す男たちとその家族のドキュメンタリー。登山を知らない私は、崖に宙ぶらりんになるテントとか、実際の登山用具にびっくりでした。

第3位は『否定と肯定』。原題は“DENIAL”で否定だけ。ホロコースト否定論を否定するのだから、肯定は出てこないはず。裁判がイギリスで行われるのでイギリス文学っぽい題名にしたのかも知れないが、この無神経さが不愉快な印象。イギリスの司法システムの勉強になった作品。

第2位、『パターソン』。これも主人公は犬、と言っていいかも。穏やかな主人公がとっても素敵。自分を偽らない妻もとっても素敵。精いっぱいの自己主張にがんばるブルドッグもとっても素敵。

そして第1位は『マンチェスター・バイ・ザ・シー』。主演のケイシー・アフレックが昨年度のアカデミー賞主演男優賞を手にした作品。確かに上手かった。彼の演技があってこその作品だと思う。それゆえに、ハリウッド発で全世界の女性たちが声を上げているセクハラ問題で、ハラスメントしていた側の一人として彼が糾弾されているのは、何とも残念。正体はトンデモ男だとしても、役になり切った俳優としての演技力は、大したものだった。元妻役のミシェル・ウィリアムズも良かった。彼女の涙にもらい泣きしてしまった。

2018年は、インフルエンザ恐しでちょっと出足が鈍い状況。
春になったらどんどん観て、次のベスト10を楽しむゾ!

2017年・私の好きな映画ベストテン 菅沼正子

1 わたしは、ダニエル・ブレイク
2 ラ・ラ・ランド
3 マンチェスター・バイ・ザ・シー
4 ドリーム
5 ダンケルク
6 残像
7 希望のかなた
8 ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命
9 僕のワンダフル・ライフ
10 立ち去った女


1『わたしは、ダニエル・ブレイク』 社会的弱者の目線で、社会の不条理をあぶり出していくケン・ローチ監督。今回のテーマは生活保護。医師から就労は困難といわれた59歳の大工ダニエル・ブレイク。国に生活支援を求めるが、その手続きの複雑さ、冷徹さ。PCも思うように使えず。ハローワークの掲示板に<わたしは、ダニエル・ブレイク>から始まる抗議文は、心の痛みを伴って忘れられない名シーン。

2『ラ・ラ・ランド』 鑑賞後は号泣。これほど泣いた作品は近年には珍しい。オープニングは『ウエスト・サイド物語』の乗りではじけているが、夢を見て、夢を追いかけ、夢をつかんだものの、気が付けば愛は失っていたという内容。得るものと失うもの。幸福はどんな物差しで計る?監督はデイミアン・チャゼル。

3『マンチェスター・バイ・ザ・シー』 タイトルのマンチェスター・バイ・ザ・シーは、ボストンの北東に位置する平凡な港町。訳あって故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーを捨てた主人公(ケイシー・アフレック)が、兄の死をきっかけに故郷に戻り、過去の悲劇を振り返るというストーリー。泣ける、ジーンと泣ける。砂浜に打ち寄せるさざ波のように、感情の波が揺れる。監督はケネス・ロナーガン。

4『ドリーム』 1960年代初頭。NASAのロケット打ち上げ計画も初期の時代。現代ほどコンピュータは発達していない。そういう時代にNASAの頭脳として尽力した黒人女性3人の偉業を描く実話。天文学的計算能力にはびっくりだが、それ以上に私が感動したのは彼女たちの人種差別との闘いである。科学的にはロケットの打ち上げというドリームはかなえられ、それから70後の今では、宇宙に数か月も滞在できるようになったのに、人類みな平等のドリームはいまだに変わってない。なぜ?

5『ダンケルク』 1940年5月、ナチス・ドイツの猛威は北欧諸国を次々に侵略、まもなくフランスも落とそうという勢い。フランス北部の港町ダンケルクに追い詰められて苦戦する英・仏連合軍。このときイギリス首相チャーチルが決断した撤退作戦。「ダンケルクの奇跡」と語り継がれるその全貌を描く。監督はクリストファー・ノーラン。ここに至るまでの史実は、3月30日公開の『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』の鑑賞を勧める。魂を揺さぶられる感動の映画だ。

6『残像』 第二次世界大戦後、ソ連の影響下に置かれたポーランド。スターリン主義に抵抗して、自らの主張を貫いた実在の画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキの孤独な人生を描く。同じような環境で映画を作り続けた巨匠アンジェイ・ワイダ監督の遺作。タイトルの『残像』はストゥシェミンスキの作品名でもある。 

7『希望のかなた』 難民問題に一石を投じた秀作。内戦で家も家族も失ったシリアの男性が、ヨーロッパへ逃れ、差別や暴力にさらされながら、いくつもの国境を越え、戦争のないフィンランドに密入国。難民申請するも却下される。送還を恐れる男性に手を差し伸べる初老のおじさんがいて……。セリフは少ないが、画像は雄弁。ユーモアとアイロニーが巧み。ヨーロッパ・中東の現実の苦悩を浮き彫りにしたラストシーンは衝撃。アキ・カウリスマキ監督作品。

8『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』 ホロコーストに抵抗した命の輝きの美しさ。ユダヤ人300名の命を救った実話。1939年、秋。ポーランド・ワルシャワに侵攻してきたナチス・ドイツ。ヨーロッパ最大級のワルシャワ動物園の希少動物たちが爆撃の犠牲になっていく。管理人夫婦は動物を守るさまざまな工夫を尽くし、地下倉庫にユダヤ人をかくまい、多くの命を救ったのである。この動物園は今も開園しているという。行ってみたい。監督はニキ・カーロ。

9『僕のワンダフル・ライフ』 ゴールデン・レトリバーと飼い主のラブストーリー。タイトルの<僕>は犬あり、飼い主でもある。犬の寿命は人間より短いから、少年が成長して大人になるまで犬は何回か生まれ変わる。犬にも輪廻転生があるらしい。シェパード、コーギーと生まれ変わり、何度目かの出会いはゴールデンに戻っている。動物たちに癒される。監督=ラッセ・ハルストレム。

10『立ち去った女』 冤罪で30年も服役した女が、自分を陥れた昔の恋人への復習の旅に出る。人間の善と悪をあぶり出す。なじみのないフィリピン映画。4時間近い長尺なのに疲れない。ラヴ・ディアス監督の手腕。
 テンからは漏れても好きな作品。順不同。『未来よこんにちは』『ムーンライト』『少女ファニーと運命の旅』『エル』『ボブという名の猫』『オン・ザ・ミルキー・ロード』『サーミの血』『ダンシング・ベートーヴェン』。

名探偵コナンの「真実はひとつ」が虚しい 2017年690本のベストテン 城下玲(名古屋・読者)

〈外国映画〉
声高な権力者により、事実が歪められ、何が正しいのか分からない狂気の時代に突入。ホラーにアニメ、フィリピン映画が目立つ中、この年の映画の王、ヨン・サンホの神業の脚本に酔った『新感染ファイナル・エクスプレス』がホラーを越えた別格のエンタメ大賞。後に名匠の反権力映画が続く。

1『新感染ファイナル・エクスプレス』エンタメ大賞
2『立ち去った女』
3『残像』
4『わたしは、ダニエル・ブレイク』
5『希望のかなた』
6『否定と肯定』
7『笑う故郷』
8『エルELLE』
9『20センチュリー・ウーマン』
10『セブン・シスターズ 』

次点『春の夢』『甘き人生』『メッセージ』『フライト・クルー』『人生はシネマティック!』

〈ホラー〉
1『ゲット・アウト』   2『ウィッチ』   3『ジェーン・ドゥの解剖』

〈アニメ〉
1『 KUBOクボ/ 二本の弦の秘密』   2『我は神なり』   3『ゴッホ 最期の手紙』

〈ドキュメンタリー〉
1『アレッポ 最後の男たち』   2『私たちが誇るもの~アフリカン・レディース歌劇団』(難民映画祭)   3『 ドーソン・シティ : 凍結された時間』(イメージ・フォーラム・フェスティバル)

〈偏愛する映画〉
1『カニバイシュ』(1988年マノエル・ド・オリヴェイラ)   2『レベル5』(1996年クリス・マルケル)

〈日本映画〉
『花筐 HANAGATAMI』は、戦時下に咲いた死の匂いのする濃密なエロスの華、月下美人。『あゝ、荒野』は、帳尻合わせの長話で、見所は、主演男優賞のヤン・イクチュンとボクシング・シーン。マンガばかりか、一粒で二度儲けるアニメの実写に、地方が舞台の全員クズや、良きお年寄りモノだらけの日本映画の、あしたは、どっちだ。

1 『花筺 HANAGATAMI』
2『At the terrace テラスにて』
3『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』
4『最低。』主演女優賞 森口彩乃
5『夏の娘たち~ひめごと~』
6『バンコクナイツ』
7『ろんぐ・ぐっどばい~探偵 古井栗乃助~』
8『方舟の女たち』
9『月子』
10『あゝ、荒野』主演男優賞 ヤン・イクチュン

次点『ハローグッバイ』『コクウ』『東京ウインドオーケストラ』『逆光の頃』

〈新人監督賞〉『鱗のない魚』(イメージ・フォーラム・フェスティバル)

〈ホラー〉『SYNCHRONIZER』

〈アニメ〉『夜は短し歩けよ乙女』.

〈ドキュメンタリー〉『三里塚のイカロス』

2017年・たった1本が貴重な1本に 東京都在住 井上氏

去年はつくづく運のない年でした。エスカレーターの上から落ちてきた大型キャリーで大怪我をして入院、リハビリと、趣味にしていた映画を観ることが出来なかった一年でした。今、78歳で「映画よ、さようなら」と運命の神様が言っているように思えました。とにかく事故以来、都会の人混みが恐く感じます。

そんな中で、やっと秋になって近くのシネコンでただ1本観たのかイラン、フランス合作映画『セールスマン』でした。

その1本しか書くことがないですが、それでもこの1本が、弱気な私がなんとか映画館まで行けたと少し自信がつき、シネマジャーナルの方々に「いいチョイスだった」とほめていただいて嬉しい1本になりました。この1本だけで書かせてもらうことをお許しください。

ご存知『彼女が消えた浜辺』『別離」『ある過去の行方』などで知られるイランの名匠アスガー・ファルハディ監督の『セールスマン』の感想です。

開発という「破壊」で急激に変化する都市テヘラン在住の若い夫婦エマットとラナは国語教師で共に小さな劇団に所属していた。アーサーミラーの原作の舞台「セールスマンの死」の稽古に忙しい毎日だった。そして初日の夜、ラナが暴行事件の被害者になってしまう。

以後、夫婦の関係は悪化する。夫は性格異常とも思える様子で犯人を追いつめていく。夫が手にしようとしたものは何だったのか考えさせられました。所々に「セールスマンの死」があわせ鏡のごとく作品の随所に使用されていて、何より優れた台詞のドラマでした。監督の過去の作品を観ていたことが、この作品を知る手がかりにもなりました。

★2017年の作品で観たいと思ったのは『人生フルーツ』『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名はカメジロー』『ヨーヨーマと旅するシルクロード』わたしはダニエル・ブレイク』『ムーンライト』『彼女の人生は間違いじゃない』『残像』『あさがくるまえに』『わたしたち』『婚約者の友人』『パターソン』『三度目の殺人』『エルンスト』ブレードランナー2049』……DVDになったら見てみようと思います。

旧作の方があれこれ書きたい作品が多かった生田さんのベスト9

2017年は新作・旧作取り混ぜ劇場公開された作品で印象に残った作品について書くことにしました。 旧作の方があれこれ書きたい作品が多かったのでお許しくださいませ。

『ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜』
こころね一つで空もとべるはず! という家訓がココネちゃんの家にはってありましたが これが伏線になるとは・・・。夢が現実世界に影響するというストーリーは 筒井康隆さんの小説『パプリカ』(こちらもアニメ映画化されてます)を彷彿とさせますが 夢の部分が明るい感じななので安心して冒険に身を委ねることができて楽しめました。

『コール・オブ・ヒーローズ 武勇伝』
多数の瓶がある場所で繰り広げられるアクションシーンが印象的でし た。ついこれをセッティンするのは大変だっただろうと余計な事を考えてしまいます。 ラウ・チンワン、ルイス・クーのいい年取ってきた組と若いエディ・ポンの組み合わせが新鮮でした。個人的にはスケールが広がるとアクションが大味に感じられるので、アクションが引き立つような作品が見てみたいと思ってしまいます。

『仁義』(1970)
警部が捜査のために訪れるクラブのダンスシーンは背景にすぎないのだけどこちらもメインで見たいと思わせるものでした。犯罪が実行される場面では無駄口は一切なく BGM もなくこれが かえって緊張感をたかめます。脚本の良さを最適の俳優を使い的確な演出で最上級の作品に仕上げた 監督の手腕に脱帽! アランドロンのトレンチコートの着こなしはステキでうっとりしました。

『台北ストーリー』
エドワード・ヤン監督は映画になりにくい題材を丁寧に描写して映画にしてしまうなぁと思 います。この作品はまさしくそんな映画だと思います。心が通いあっていたはずの二人の心のすれ違い、 思い描いていていた未来とは違う所に着地してしまう現実。時が経過しても変わらない人生の 真理みたいなものをえがいているから古びないのでしょうか。

『クーリンチェ少年殺人事件』
私がエドワードヤン監督の作品に初めて触れたのは『エドワードヤンの恋愛時 代』でした。その時からこの作品を見たいと切望していましたがやっと見ることができる! ただ、長時間の上映に寝ないか、ついていけるのだろうかという心配はありましたが 寝ずに見届けることができました。ただ心にガーンと衝撃は受けたもののこれを消化しきれておらず どう感動したか、とういう説明はできません。でもベストに入れたのは、もう新作をみることが 叶わないヤン監督の作品だから。そして一線で活躍しているチャン・チェンを始め出演者の瑞々しさや ヒロインの女の子の『世界を変えられるとでも考えているの?』という内容の台詞。 自分と比較するのが間違っているのは重々承知であの年齢であんな台詞は言えなかったなぁ。

『 TheNET 網に囚われた男』
キム・キドクはあまり好きではないのだけど怖いものみたさで 見たくなる時があります。 韓国側が北朝鮮の人は南で暮らしたほうが幸せだと価値観を押し付けをしているように感じ 息苦しくなってきました。何事も幸せの尺度を始め他人の価値観は分からないので 自分も幸せの押し売りみたいな行動はやりたくないなと思いました。

『バンコクナイツ』
これもどこにどう感動したと説明できないのですがズシンと来た作品。巨大な穴ボコが あいたところでラッパーたちと集うシーンが印象的。

『アトミック・ブロンド』
シャリーズ・セロン姐さんが凄すぎ!!音楽も好きだしあの鋭いアクション!! 生身の身体を使ったアクションには訴える力があります。今年の爆音映画祭でこの作品がかかるのも納得。

『 T2 トレインスポッティング』
まさか20年後にこうやって映画になるとは・・・。しかも俳優みなさん変わらずに。まさかの女子高生が弁護士で登場してきたときにはニンマリ。どうしようもなく年齢を重ねても許される気にさせてくれたのが ベスト入りの理由です。