2023年 ベスト15        山本聖美

320_R.jpg
『イニシェリン島の精霊』
(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『イニシェリン島の精霊』
『ボーンズ & オール』
『バビロン』
『エンパイア・オブ・ライト』
『TAR』
『AIR』
『ヴァチカンのエクソシスト』
『グランツーリスモ』
『ミステリと言う勿れ』
『ファルコン・レイク』
『RRR』
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
『首』
『エクソシスト 信じる者』
『PERFECT DAYS』

【特別枠】
『ドラゴンへの道』
『燃えよドラゴン』
『楊德昌( エドワード・ヤン )の恋愛時代』
『陽炎座』

今年のベスト3は『イニシェリン島の精霊』『エンパイア・オブ・ライト』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』。

以前程本数を観られなくなったし、去年も体調が万全とはいかず。それでもベストで15本選べるとは 我ながら驚いた。「これは良さそう」「これは好きそう」で、良い映画を観られているのだろう。映画の神様に感謝。
『エクソシスト』は、私が生まれて初めて自分の意思で、1人で観に行った映画なので( 小5か小6の時だ )凄く思い入れがある。「もしかして出るな」が「こりゃ絶対出るぞ!!」になったラストにリンダ・ブレア!あの懐かしい曲が終わってエンドマークが出た時は、思わず涙しそうになったのだった。
『イニシェリン島の精霊』、面白過ぎて2回観に行ったが、都合が合えば又観たかった。「人生は死ぬまでの暇つぶし」手のひらに書いて、映画帰りにためつすがめつ。懺悔を聞いていた牧師が、最後に「地獄に堕ちろ!」と激昂する件りは最高に笑った & ドミニクは最高!オスカー獲って欲しかったなぁ。
『AIR』も、かなり面白かった。途中で「こりゃオモロいわ…」と呟いてしまったくらいだ。ベン・アフレック監督、ホンモノ!
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は流石のスコセッシ。レオは、遂に 口角の下がる演技!
体調回復の兆し有りの時期には、面白い事間違いなしのインド映画『RRR』を観た。正解!
『ミステリと言う勿れ』、ミステリ好きなのでタイトルに惹かれてドラマを見ていたが、面白かったので漫画も読んで、映画も。台詞が面白い、2度観に行った。
『TAR』ケイト・ブランシェット圧巻!!TARの志は、高みに昇ろうと落ちようと 変わらぬものであった。
『エンパイア・オブ・ライト』素晴らしかった。
今年も好きな映画に巡り逢えますように。

2023ベストテン 菅沼正子

ennio.jpg
(C)2021 Piano b produzioni, gaga, potemkino, terras

外国映画の部

1,モリコーネ 映画が恋した音楽家
 メロディの向こうに映像が見える素晴しい音楽。あのメロディ、あのシーン、あのスターの名演技。次々に蘇るこの幸せ!、映画ファンにはたまらない。生涯どのくらい提供してくれただろうか、エンニオ・モリコーネ。1960年代に大流行したマカロニ・ウエスタン。哀愁を帯びたオペラ的なあのメロディはクリント・イーストウッドのイメージ。

2,エンドロールのつづき
 監督自身の実話から生まれた感動作。チャイ売り少年が恋に落ちたのは映画だった。鑑賞後はチャイでも飲みながら、自分の希望や人生を見つめ直すのも一興。

3,屋根の上のバイオリン弾き物語
 「屋根の上のバイオリン弾き」のバックストーリーを追ったドキュメンタリー。<サンライズ・サンセット……>と明日の希望を歌うあの名曲。政情の悪化でユダヤ人は国外追放になり、1家の後ろをバイオリン弾きもついて行く、この映像が忘れられない。現在の中東の争いも考えてしまうが、私の最大の願いは<決して戦争をしてはいけない>ということ。

4,マルセル 靴をはいた小さな貝
 おとぎ話のような心地よい感覚がたまらない。人類世界中分け隔てなく皆仲良くしようというメッセージ伝わってくる。

5,ナチスに仕掛けたチェスゲーム
 ヒトラーがドイツとオーストリアを併合した日、公証人は監禁される。精神的虐待を受けながらも、チェスのルールブックを暗唱、船上で行われているチェス大会を見守るが……。

6,私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?
 タイトルロールのモーリーン・カーニーは世界最大の原子力企業アレバ労働組合の代表。アレバとフランス電力会社(EDF)が、機密性の高い技術を中国に移転させ原発を造らせようとしていることを知ったモーリーンはこの件を内部告発して…………

7,ティル
社会的なメッセージを歌にするボブ・ディランも歌った。公民権問題である。(怒り)。息子を愛する母親の愛と正義の実話。タイトルはその母と息子の姓。いまだに黒人蔑視の陰惨な社会に立ち向かう母の勇気に励まされ、感動が全身を走る。

8,TAR/ター
ベルリン・フィルで女性として初めて主席指揮者に任命されたター。最近その日々が何となく不思議。思いがけない陰謀が裏で動いている。ケイト・ブランシェットの独壇場。

9,アフター・ヤン
人間とは何か、ロボットとは何か、人間とロボットの違いは?などの問いかけに対して、家族の情愛や人間らしい生き方について探求していく姿勢に胸を打たれる。AIが社会を切り盛りして、人間不要になったらどうする?

10,aftersun/アフターサン
親の心子知らずというが、父と同じ年齢になった娘ソフィが、あの頃の父の心が痛いほど分かる、という話。

日本映画の部

1,PERFECT DAYS
平凡な小市民の生き方を描いて紛れもない感動作。主演の役所広司がカンヌ映画祭で最優秀男優賞受賞。監督のヴイム・ヴェンダースは<彼こそが俳優である>と絶賛。この主人公のように、1日1日を大切にしたい。同じ日は1日としてなく、見上げれば空の色も雲の動きも木の葉さえ、その風情は昨日とは違う。毎日が新しい日なのである。

2,土を喰らう十二ヵ月
こんな生活ができたら……と、だれもが望むことだろう。わが家の庭で四季を感じられるなんて素晴らしい。私も軒下に日よけ代わりにゴーヤをつくるのが毎年楽しみ。

3,銀河鉄道の父
一筋縄ではいかない宮沢家の物語。ありすぎるほどの家族愛が伝わってくる。

4,春に散る
人生を取り戻す力を与えてくれる映画。私の大好きな佐藤浩市主演。

5,逃げ切れた夢
人生のターニングポイントを迎えた中年男性。妻は燃えてくれないし、娘はスマホに夢中だし、どうすればいい?

6,こんにちは、母さん
山田洋次監督の91歳にして90本目の作品。スカイツリーを見上げる東京下町の人情が身にしみる。

7,魔女の香水

8,有り、触れた、未来
命と向き合う複数の実例の物語を通し、人々が支え合うことの尊さを描く。

9,J005311
タイトルは光ることなく浮遊していた二つの星が、奇跡とも呼ばれる確率で衝突し、再び輝きだした星をもとに名づけられたとのこと。
居場所を見つけられずさまよい世間に取り残された孤独感いっぱい。

10,水は海に向かって流れる
もう恋なんかしたくない、という26歳のOL。そんな彼女に思いをはぜるのは年の差10歳の高校生。主題歌はスピッツ。
本作のために書き下ろした新曲は<ときめきpart 1>。

2023年 ベスト映画  米原 弘子

egoist.jpg
(C)2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会

昨年映画館で鑑賞した85本の中から邦画、外国映画10本ずつ選出しました。

【邦画】

①窓ぎわのトットちゃん
ちょうど親世代の徹子さん、子供たちのイキイキとした動作や会話の細やかな描写に両親の姿が重なり胸がいっぱいに。年月を経て二人とも他界した今、社会情勢が当時とそれほど変わっていない、むしろ悪い方に向かっていることに戦慄。泣いた。良かった。

②リバー、流れないでよ
老舗旅館で繰り返される2分間のタイムループ。登場人物の記憶が途切れないことで起こるドタバタを毎回ワンカットで撮るというアイデアの素晴らしさ。2分という時間を視覚化したともいえる。笑いながらそれぞれの人生も垣間見える。冬の京都の神秘的風景と相まって大満足の一本。

③福田村事件
たかだか100年前の出来事なのだ。その間に人間の集団心理が変わるとは思えない。もしかすると明日私が(どちらの立場にせよ)彼らになるかもしれない。決して他人事ではなく目をそむけてはいけないと思いつつその場から逃げ出したい気持ちでいっぱいになる。役者陣が見事。

④エゴイスト
浩輔と龍太の笑顔を見ていると彼らの幸せがいつまでも続くよう願うしかなく、と同時にこの関係が終わりを迎える予感に胸が苦しくなった。思いがけない展開から血のつながりを超えた家族の構築へと物語は行き着く。無償の愛と日常の尊さを実感する。

⑤春に散る
何を選択するのが正解か誰にもわからない状況で、たとえ体がボロボロになろうとその一瞬にすべてを賭ける美しさ。ボクシング映画に人々が惹かれる理由がそこにあると思った。主演の横浜流星はなんて凄い役者なのだろう。ほとんどノーメイクで一本芯が通った女性を演じた橋本環奈は新境地を開いたのでは。

⑥ミンナのウタ
GENERATIONSのメンバーが本人役で出演。呪いのカセットテープがもたらす怪奇現象に巻き込まれる。怖くて面白くて期待以上だった。特に途中の白日夢か現実か、こちらも魔界に引き込まれそうになるあるシーンが秀逸で、恐怖と微かな好奇心を刺激して鳥肌。

⑦正欲
正しさとは?普通とは?マイノリティの嗜好や欲望・衝動を言語化視覚化するとこうなるのかと腑に落ちた。というか何かしら誰でも持っている感覚なのではないかとも。普通側に立つ者が振りかざす常識と正義を体現した稲垣吾郎の演技に舌を巻く。

➇仕掛人・藤枝梅安
行燈の薄暗い中、鍋を囲みながら「これが最後の飯かもしれん」と語り合う男二人の全身からにじみ出る悲哀と色気にクラクラ。除夜の鐘が鳴り響く大晦日、こたつで眠る彦次郎に羽織をかけ一人縁側で妹を偲ぶ梅安、、というカットだけで観た甲斐があったというもの。極上の時代劇。

⑨アンダーカレント
人の心は計り知れなくてお互いわかりあえるはずがなく、だからこそ心が触れ合う一瞬を求めて人は生きているのかもしれない。そんな思いを抱きながら観ていた。真木よう子、井浦新、リリーフランキーほか役者たちの演技が心地よい。優しくありたいと思った。

⑩最後まで行く
オリジナル韓国版は未見。岡田准一扮する刑事がのっぴきならない状況にどんどん追い込まれていく姿に息も絶え絶え、大変面白かった。途中の死体についてのミスリードも効果的。サイコパス綾野剛も凄いし磯村隼人の死体っぷりも素晴らしい。どなたか駿河太郎の心配をしてあげてほしかった(笑)

【外国語映画】

①対峙
高校銃乱射事件の加害者家族と被害者家族が密室で向き合う。同時に観客も彼らが体験した取り返しのつかない悔恨や苦悩、喪失感を共有することになる。涙が零れてしまったのはどちら側の感情に同調したのか自分でもわからない。絶望の中でも人間は赦し希望を見出せるものなのか。必見。

②FALL/フォール
手に汗握るとはこういうことなのか。女性二人の関係性が変化していく終盤にかけてホラーの旨味もあってゾクゾク。600mの鉄塔に取り残される状況は間違っても私の人生に起こらないはずだが万が一のために多少のサバイバル知識と体力は常に必要。足が地についていることの幸せを噛みしめた。

③フェイブルマンズ
観る者が100人いれば100通りの受け止め方があり、人を幸せにも不幸にもし、虚構を真実に真実を虚構に変え、思いもよらない自分の心の内に気づかされ、何よりいつかこの世から消える人間と違って形として残る映像って映画って怖い!残酷!だからこそ私は好きなのだと思いながら観ていた。傑作。

④パーフェクトドライバー
思いがけず子供を守る羽目になってしまった凄腕女の物語として『グロリア』を思い出すのは当然としてさらにド迫力のカーチェイス、韓国映画らしい痛すぎる暴力場面を絡めながら終盤にかけてテンション上がりまくり、思わず手に力が入る。パク・ソダム惚れてしまうわ。

⑤ヴァチカンのエクソシスト
大変面白かったのだが、クマさんみたいにプクプクして愛嬌があって可愛くて強くて頼もしくて無駄に色気がある人がローマからスペインまで最強悪魔から人を救うためにスクーターで爆走するのだからキュンキュンしちゃって怖いどころでなくなってしまったのが残念だった。

⑥青いカフタンの仕立て屋
青い布に金色の刺繍を施す手に重なる手。互いの視線が絡み合う場面のなんとエロティックなことか。美しいカフタンが仕上がった時、男二人女一人の中で育まれた愛が静かに昇華していく。生活音が効果的。階下から流れる音楽に命を慈しむよう三人が踊る場面が心に残る。

⑦燃えあがる女性記者たち
新聞社を立ち上げたインド被差別カーストの女性たちがスマホ片手に社会問題に切り込んでいく。終始彼女らが暴力による報復を受けるのではないかとハラハラしながら鑑賞してしまった。そして命まで狙われることはない日本のジャーナリズムの不甲斐なさ、そして私自身の甘い生き方を痛感した。

➇モリコーネ 映画が恋した音楽家
映画ファンならずとも一度は聞いたことがあるはずの音楽と貴重映像に心躍る至福の157分。愛すべき音楽家は頑固さと柔軟性を併せもったチャーミングな人柄で、彼が語る制作現場裏話など楽しくてずっと聞いていたかった。彼を敬愛する監督たちの言葉も熱い。

⑨M3GAN/ミーガン
二足歩行が突然四つん這いで疾走する姿ほど怖いものはない。ホラーだけではなくドラマパートもしっかり面白くて100分の尺ながら大満足。ミーガンダンスも楽しい。後半は『エイリアン2』を思い出したが、叔母の行動が母性からではないところが良かった。子供も強くて賢いのが好印象。

⑩ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り
登場人物たちがみんな愛すべきキャラでそれぞれが強みを生かし弱点を補い合いながら結束力を高める、、というだけで胸が熱くなってしまった。主人公とその相棒がジェンダーを超えた関係というのも好感が持てる。ミシェル・ロドリゲスがカッコイイ。ヒュー・グラントが楽しそうに演じているのよ、憎たらしい顔をしながら。

以上ベスト10のほかに
昨年と同様私にはどうしても順位がつけられなかった作品として
『ブラフマーストラ』『PATHAAN/パターン』『ランガスタラム』『K.G.F CHAPTER1&2』『囚われし者ボーラー』『火花Theri』のインド映画6本を挙げておきます。

2023ベストテン 読者:SH

10本におさまらず。

香港→台湾とヌマにハマった作品(リバイバル上映から)

1.ラヴソング(1996)
2.花様年華(2000)
3.インファナル・アフェア(2002)
 全3部作4K上映 
(インファナル・アフェアIII終極無限は上映時間が合わず泣く泣く自宅でDVD鑑賞)
4.いますぐ抱きしめたい(1988)
5.少年(台湾巨匠傑作選2023)
6.HHH:侯孝賢(1997)
7牯嶺街少年殺人事件(1991)
8欲望の翼(1990)
9.宋家の三姉妹(1997)
10.熱帯魚(1995)

dokuzetu.jpg
(C)2022 Edko Films Limited, Irresistible Beta Limited, the Government of the Hong Kong Special Administrative Region. All Rights Reserved.

劇映画で敬服したのは
1.毒舌弁護人〜正義への戦い〜(香港)
2.モガディシュ 脱出までの14日間(韓国)
3.シモーヌ フランスに最も愛された政治家(フランス)
4.対峙(アメリカ)
5.アシスタント(アメリカ)
6.パリタクシー(フランス)
7.JFK/新証言 知られざる陰謀(劇場版)(アメリカ)
7.青いカフタンの仕立て屋(フランス、モロッコ他)
8.TAR ター(アメリカ)

香港関連(泣きました)
1.革命時代の少年たち
2.ブルーアイランド 憂鬱之島
3.理大囲城

問題ある社会に異議申し立てるドキュメンタリー
1.ヤジと民主主義(日本)
(実は新年に鑑賞、製作のHBC北海道放送、配給のKADOKAWAに敬意を)
2.ハマのドン(日本)
3.燃えあがる女性記者たち(インド)
4.ぼくたちの哲学教室(アイルランド)
5.裸のムラ(日本)
6.国葬の日(日本)

パレスチナ、ウクライナ関連ドキュメンタリー
1.愛国の告白 沈黙を破るPart2(日本)
2.ガザ 素顔の日常(アイルランド他)
3.パレスチナのピアニスト(イスラエル)
4.ミスター・ランズベルギス(リトアニア・オランダ合作)
5.マリウポリ 7日間の記録(リトアニア・フランス・ドイツ合作)

ベストテン2023 よしだまさし

3604WFC18_5.jpg
© Machi Xcelsior Studios All Rights Reserved.


昨年観た映画から好きな作品を順不同でピックアップしてみます。

『ミス・シャンプー』
 東京国際映画祭で観た台湾映画。徹頭徹尾楽しくって大笑いした映画でした。昨年観た映画のベストワンでした。Netflixでの配信も始まっていますので、ぜひご覧下さい。なお、絶対にエンドクレジットの最後の最後まで観てくださいね。

『赤い糸 輪廻のひみつ』
 『ミス・シャンプー』でギデンズ・コー監督の作品に惚れ込んだら、ジャストタイミングで公開されました。冥界を巻き込んだ主人公のピュア過ぎる恋愛感情に、泣いて笑って、心を揺さぶられる作品でした。
 こうなると当然のように『あの頃、君を追いかけた』を観たくなるのですが、残念ながらいまは観るすべが見つかりません。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
 冒険活劇もここまで徹底してくれればなんの文句がありましょうか。続篇が楽しみ。この直前に観た『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』がすっかりかすんでしまいました。

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』
 これまたアクション演出が素晴らしく、たっぷりと楽しませてくれました。ドニー・イェンが実に素晴らしい。しかし、ジョン・ウィック、体力ありすぎ(笑)

『リボルバーリリー』
 『ICHI』を観たときから綾瀬はるかのアクションのかっこよさに惚れ込んでいたのですが、本作では久しぶりに綾瀬はるかのアクションを堪能することができました。シシド・カフカのかっこよさもまさに眼福でありました。

『ゴジラ-1.0』
 ハリウッド版ゴジラのダメさ加減にさすがにうんざりして、『シン・ゴジラ』も「自分が観たい『ゴジラ』はこれじゃない」とガッカリしていたのですが、本作で「これが観たかったんだよ!」と快哉を叫んでしまいました。突っ込みどころは数々あれど、「怖いゴジラ」の復活は嬉しいかぎり。

『漁師』
 東京国際映画祭で上映されたフィリピン映画。『マニャニータ』を観た時に、「ラヴ・ディアス監督の影響が露骨で、ポール・ソリアノ監督が撮るべき作品はこれじゃないだろう」とガッカリしていたのですが、あれは本作に至るための経過点だったのだなと納得させられました。リアルな映像でありながら、なにやら神話を思わせる世界を構築してみせた本作で、ポール・ソリアノ監督は新しいステージに移行したなと確信したものです。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』
 孫を連れて観に行ったのですが、小さい子どもから大人まで、誰が観ても楽しめる映画でした。これだけ楽しめる映画を観せてくれて「ありがとう」という気持ちです。

『盲剣楼』

 むかしむかし、ジェット・リー主演の『D&D 完全黙秘』『新・少林寺伝説』に出ていたシェー・ミャオという小生意気な顔をしたガキが、いつの間にか大人のアクション俳優になっていたのでその主演作を追いかけて観ていたのですが、どれもこれもいまひとつな作品ばかり。ところが、ようやく「これ!」という作品に出会いました。座頭市をベースにした作品なのですが、アクションが素晴らしいだけではなく、映像もやたらと凝っていて、なかなかの拾いものでした。

 もう1本「これ!」という作品がなかったので、この9本とさせてください。なお、公開年に遅れて観た作品とか、久しぶりに見返した古い作品では、『すてきな片想い』『The Wich/魔女』『地獄の花園』『FALL/フォール』『エスター』『キャビン』『シャドウ・イン・クラウド』『嵐を呼ぶ男』のタイトルをあげておきます。