TUFS Cinemaアラブ映画特集『土地と海』(7/19)

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東京外国語大学TUFS Cinemaアラブ映画特集『土地と海』
https://www.tufs.ac.jp/event/2025/250719_c01.html

日時:2025年7月19日(土) 14:00開映 (13:40開場、16:45終了予定)

会場:東京外国語大学 アゴラ・グローバル プロメテウス・ホール
https://wp.tufs.ac.jp/tufscinema/contact/

プログラム
監督からのメッセージ(動画上映)
Daniele Rugo(映画監督)・Carmen Abou Jaoudé(共同製作者)
映画『土地と海』本編上映(73分)
上映後解説/トーク:
岡部友樹(神戸大学)
児玉恵美(日本学術振興会PD・専修大学)
司会:黒木英充(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)

★入場無料、事前登録制(先着500名)、一般公開
事前登録フォーム 
https://sanda.tufs.ac.jp/event/tc250719form/
*会場での参加登録も可能(満席の場合、事前登録者を優先)

作品紹介
『土地と海』原題 The Soil and The Sea(アラビア語 Bahr wa Turab)
監督:ダニエル・ルーゴ
共同製作者:カルメン・アブー・ジャウデ、ダニエル・ルーゴ
原作テキスト・ナレーション:イリヤース・フーリー
2023年/レバノン・イギリス/73分/アラビア語

あらすじ
レバノンでは、内戦(1975–90)の勃発から50年の節目を迎える今もなお、庭園や学校、海の底など、市民生活の場や町の風景のあちこちに多くの遺体が埋もれており、家族らは愛する人の遺骨の帰還を待ち続けています。本作は、地中に隠されたレバノンの歴史と、いまだ癒えない人々の悲しみに光をあて、内戦の記憶と向き合うことの重要性を問いかけます。監督のダニエル・ルーゴ氏は、証言者の顔をあえて映さず、その声を紛争中の映像や現在の風景と重ねることで、内戦の暴力とその残された影響を静かに、しかし力強く描いていきます。

本作について
本作『土地と海』は、レバノン内戦によって行方不明となった人々と、その家族が抱える沈黙と苦悩に迫るドキュメンタリーです。ナレーションを務める作家の故イリヤース・フーリー氏(1948–2024)は、レバノンの海を、遺体が沈む無数の集団墓地として語ります。その風景に重ねられる家族の「声」は、平凡に見える場所に眠る暴力と死の記憶を呼び覚まします。顔を映さず、声と風景だけで構成される映像は、拉致・強制失踪という「見えない暴力」の本質と、それに抗う記憶の回復、そして対話の重要性を静かに訴えかけます。残された家族が求めるのは「真実」と「遺骨」、すなわち故人を尊厳をもって迎え入れることです。集団墓地の保存や証言の記録は、忘却に抗う手段であり、移行期正義への第一歩でもあります。こうした問題は、レバノンに限らず、ボスニア、イラク、コロンビアなどの内戦後の社会にも共通するものであり、世界各地で起こる紛争の記憶と正義をめぐる課題と深く響き合っています。


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