映画も人生もなんかよくわかりませんが、2022年のベストテンをなんか自分なりに選んでみました。
『カウンセラー』2021年/日本 酒井善三監督
わたしこわい映画がほんとうに苦手で、、、すごく怖くて面白くて、この映画はトラウマになりそうです。やりがい搾取とかパワハラとか映画制作の環境について何かと取り沙汰される昨今、この映画はスタッフ、キャストの労働時間を8時間に制限して制作されたとのこと。自主映画から商業映画という流れは、ほんとうにいろんな葛藤があるんだろうなあ、と思います。若い人たちが良い映画を撮るために頑張ってるのは、思い切り応援したいです。わたしも若いですが。何もできませんが。
『なれのはて』2021年/日本 粂田剛監督
フィリピン女性に惹かれてフィリピンに渡り、彼の地で骨を埋める日本人男性たちを追ったドキュメンタリー映画。日本の常識的思考からは、破滅にしか見えない悲惨な末路ですが、、時折見せたオジサンたちの幸せそうな表情が印象的。まあ、老いて死んでいかなければならないのは、どこでも誰でも同じですね。わたしは若いですが。フィリピンパブ行きませんが。
『やさしくなあに〜奈緒ちゃんと家族の35年〜』2017年/日本 伊勢真一監督
障害を持つ姪と家族に35年寄り添って撮り続けた稀有なドキュメンタリー映画。彼女の笑顔と声に触れるだけで、なんだか明るい心持ちになれるようです。わが家では「やさしくなあにって言わなくちゃ」が流行語に。海外の映画祭ではお酒に逃げる父親に非難が集中したとのことですが、お願い許してあげて!年老いて身の置き所がなくなり、酒に溺れたりキレたりする困ったオヤジ問題も現代日本の抱える大きな課題じゃないでしょうか。わたしは若いですが。キレませんが。
『ぼけますから、よろしくお願いします。〜おかえり母さん〜』2022年/日本 信友直子監督
このお父さんの大ファンです。100歳を超えてお達者!こんなに見事に歳をとる人がいるんですねー。風邪で弱ってた次の日に、朝起きて「気力が回復しました」というシーン、忘れることができません。この人が画面に映るだけで、そりゃどんな俳優も映画も完敗ですわ。さりげなくも、、有り得ないような、、、「有り難い瞬間」がたくさん映ってます。こういう真っ当で地道で飄々とした態度が、老いの絶望に対処する唯一の回答かもしれません。
(C)2022「こちらあみ子」フィルムパートナーズ
『こちらあみ子』2022年/日本 森井勇佑監督
だいたい子役の演技って嫌いなんですが、この役者の演技はまったく嫌みがなくて、とても良かったです。オーディションで選ばれた新人ということですが、期待値大きい。つらい現実とか、まともじゃないことをやさしく包み込むような、不思議な空気感があって、心地良かったです。でも、大怪我したりすごく痛そうなのは嫌だったです。
『自立への道〜不登校が呼び覚ますもの』2022年/日本 種蒔夫監督
不登校だった子どもたち8人の現在を、母親一人を含めて9人へのインタビューで綴るドキュメンタリー映画。不登校を選んだことで、ほんとうの「生きていく力」を身につけた人たち。後悔している人は一人もなく、むしろ不登校児童は「社会を変えていく力」になるんだと胸を張る母親。学校の機能不全があらわになったこの時代、特に不登校に悩んでる親御さんは絶対に観たほうが良いでしょう。劇場未公開ですが、元教師で現代美術家でもある監督自らが機材を軽バンに積んで全国を回り、上映会と対話を繰り返しています。
『ブリング・ミンヨー・バック!』2022年/日本 森脇由ニ監督
「ピーター・バラカン ミュージックフィルムフェスティバル2022」で上映された一本。日本初公開作品。日本の民謡とラテン音楽をミックスさせた、民謡クルセイダーズを追うドキュメンタリー。生活から生まれた日本人の本物の音楽「民謡」がんばれー!!前半、東北地方の民謡があまり出てこなかったのはちょっと不満でしたが、音楽の本質を思い出させてくれる大切な映画です。日本民謡の復興と世界的大ブレイクを祈念して熱烈応援します。特に何もできませんが。
『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』2020年/カナダ ポール・サルツマン監督
リシケシュの瞑想センターでビートルズに出会った青年時代の監督。素顔のビートルズは、触れ合う人は誰でも思わず笑顔になり、また会いたくなるような、自然体で気持ち良い人たちだったとのこと。さすが好きなことを思い切りやった人たちは違いますね。映画の中で、バンガロー・ビルやディア・プルーデンスなど、ホワイトアルバムの謎の歌詞が解明されてうれしかったです。意外にも、製作総指揮の、あのデビッド・リンチも同じ瞑想を実践していたそうです。映画もさることながら、瞑想にも興味アリアリです。
『みとりし』2018年/日本 白羽弥仁監督
「看取りステーション仙台」主催の上映会に行きました。看取り士は、いま日本でいちばん重要な資格なのではないかと思います。医者を減らして、これを増やしてもらいたいです。例によって子役が演技するのが大嫌いなので、ちょっと引いてしまったんですが、この映画はこれはこれで良かったのかも。主演の榎本孝明さんは出演後、看取り士の資格を取得したそうです。やっぱりすごい人です。
『夜明けまでバス停で』2022年/日本 高橋伴明監督
いくら社会が良くないって言ったって、無差別テロや国会を爆破するようなことはいけません。映画ならまあ良いですけど。昔はハッピーエンドが嘘くさいと思う人が多かったのか、救いのないことを延々と描いて救いのないままに終わるというような映画がけっこうあったように思いますが、最近は深刻な問題を描くのにも、ユーモアや希望が不可欠になったようです。それだけ現実が悲惨なことになっているのか、、、しかし、そうではないことを信じたい。年寄りはいつも「昔は良かった」というのです。わたしは若いです。
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