『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』
『竜とそばかすの姫』
で確定で、その他お気に入りはというと順不同で、
『レイジング・ファイア』
『ミッドサマー』
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』
『新感染半島』
『るろうに剣心 最終章 The Final』
『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』
といったところ。
まあ、このあたりの作品についてはいまさらコメントは不要でしょうから、ここは僕らしく、日本未公開のフィリピン映画を4本紹介しておきます。
『Princess Dayareese』(2021年)
フィリピンの芸能界には若い男女をセットにして売り出す習慣があって、そのカップルのことをラブ・チームと呼ぶのだけれど、昨年の冒頭でいちばん人気のあったラブ・チーム、マイマイ・エントラータとエドワード・バーバー(ふたりあわせてMayWardと呼ばれている)を主演に起用したコメディ映画。小さな島国の王女とそっくりだったことから、身代わりとしてその王国にわたった詐欺師の女性をメインにしたストーリーで、人気絶頂のマイマイ・エントラータの勢いが感じられる実に楽しい作品。内容的には突出したものはないのだけれど、女優が輝いているだけで映画そのものがグンと魅力的になるという典型的な作品です。
『Love Is Color Blind』(2021年)
テレビシリーズ『He's Into Her』の大ヒットによって一躍トップスターとなったベル・マリアノとドニー・パンギリナンのラブ・チーム主演のラブコメディ(こちらはふたりあわせてDonbellと呼ばれている)。画家の道を目指していたが交通事故で色覚異常となってしまった若者と、なんとか彼を立ち直らせようとする女性のドラマで、シリアスなテーマではあってもベル・マリアノの陽性のキャラゆえに明るく楽しい映画に仕上がっている。そこに、フィリピン映画のお約束ともいうべき家族の再生という感動的な場面がはさみこまれ、アイドル映画とはいえなかなか侮れない。
いまフィリピンでいちばん旬の映画を1本あげろと言われたなら、本作こそがそれにふさわしいのではないだろうか。
(C)The IdeaFirst Company
『The Boy Foretold by the Stars』(2020年)
こちらは男子校を舞台にしたフィリピン初のボーイズラブをテーマにした映画なのだけれど、性別に関係なく普遍的な恋愛映画としてたいそう丁寧に作られており、非常に好感の持てる作品に仕上がっている。男性であるとか女性であるとかということに関係なく、たまたま好きになってしまった相手が同性だっただけなのだ。
新人監督の作品なのだが、なかなか堂々たる演出ぶりで、初監督作品とは思えない完成度だ。とりわけ、校庭にロウソクを並べたシーンとか、丘のむこうに広がる街の夜景とか、印象的な情景をとりこむのがすごくうまい監督であると感じた。
なお、一昨年あたりからフィリピンではボーイズラブを題材にしたドラマが続々と作られていて、その中で最もヒットしたのが14話からなるウェブドラマの『Gameboys』で、そのヒットを受けて作られた続篇が『ゲームボーイズ The Movie ~僕らの恋のかたち~』として日本でも1月21日から公開されることになっている。ウェブドラマの方がたいそう完成度の高いドラマだったので(泣かされます!)、こちらも期待大だ。
『Isa Pang Bahaghari』(2020年)
名匠ジョエル・ラマンガン監督の手になる大人の恋愛映画。メキシコ沖で爆発炎上したタンカーとともに亡くなったと思われていた男が20年以上たって帰ってくる。帰れなかったのには仕方のない理由があったのだが、その間、苦労に苦労を重ねていた家族は彼を受け入れようとはしなかった。そこで、男と家族との間をなんとかとりもとうとしたのは、若い時からずっと男のことを愛し、献身的に男と男の家族を支えてきたゲイの同級生だった。これがもう、なんとも切ない恋愛映画なのだ。
主演はフィリピンを代表する名優ノラ・オノールとフィリップ・サルヴァドールということになっているのだけれど、ゲイの同級生を演じたマイケル・デ・メサの演技が実に素晴らしい。
明るく楽しい青春映画の目立っていたフィリピン映画界だけれど、こうしたしっとりとした質の高い大人の恋愛映画も作られているのです。
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