2020映画ベストテン よしだまさし

昨年観た作品から好きな作品を順不同でピックアップしておりますが、観た時期が公開年から遅れている作品もあり、皆様のベストテンからタイミングがずれている作品が紛れ込んでいることをお許しください。(カッコ内の数字は、日本未公開作品は本国での公開年、日本公開作品は日本での公開年)

まずはフィリピン映画から4本。
『Loving in Tandem』(2017年)
 今年公開された『Princess Dayareese』でも主演をつとめているマイマイ・エントラータのデビュー作。決して美人ではないのだけれど、活き活きとした表情がとても魅力的な女優さんです。甥の手術費を稼ぐためにスリの手伝いをしていたヒロインが、その被害者と恋に落ちて…という設定そのものはありきたりながらも、女優の魅力と監督の手腕でしっかり楽しめる作品に仕上がっています。

『Between Maybes』(2019年)
 佐賀フィルムコミッションの全面的なバックアップで日本ロケをおこなった作品。かつて子役として一斉を風靡したものの最近ではその人気に陰りが出てきた女優が、自分を知っている人間のいないところに逃げ出したくなって行き当たりばったりに日本の佐賀県にやってくる。そこで日本で育ったフィリピン人の男性と出会い、彼に救われることで再生していくという物語。
 佐賀県の美しい自然を背景に、異国で出会った男女の感情がとても丁寧に描かれています。
 主演は『Vince & Kath & James』『Love You to the Stars and Back』で一気に若手の人気女優となったジュリア・バレット。ポッテリした唇がチャームポイントです。

『The Missing』(2020年)
 これまた佐賀県で撮影されたホラー映画。古民家修復のためにフィリピンから来日した女性がそこで出会う恐怖体験を描いた作品で、ジャパニーズホラーの影響が感じられる作品に仕上がっています。なんと題材になっているのは人柱の風習。
 監督は『Between Maybes』で助監督として来日していたイージー・フェラー。来日経験がみごとに活かされています。
 佐賀フィルムコミッション、なかなか頑張っています。

『Three Words To Forever』(2018年)
 フィリピントップクラスのヒットメーカーであるキャシー・ガルシア・モリーナ監督が、3世代のカップルを題材に描いた家族のドラマ。年老いた両親の結婚55周年のイベントに駆け付けた娘夫婦、孫娘と彼女のボーイフレンド。実は娘夫婦は離婚の危機に瀕していたのだが、他の家族の前ではそれを隠して幸せそうにふるまうのだった…。
 フィリピン映画の最大の特徴は、必ず家族の問題がクローズアップされるということなのですが、そういう意味でもフィリピン映画の王道を行く作品と言えましょう。
 
さて、お次は香港映画を3本。
『ゴールデン・ジョブ』(2020年)
 久しぶりに往年の香港映画の熱気を感じさせる作品に出会えて大興奮しました。これですよ。これこそが香港映画ですよ。

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©2018 Bona Entertainment Company Limited

『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』(2020年)
 騙されたあ! ラストシーンまで辿り着いて「ええっ、そっから騙されていたの!」と驚愕しました。
 久しぶりにかっこいいチョウ・ユンファに出会えたのも嬉しかった。

『イップ・マン 完結』(2020年)
 ドニー・イェン主演のこのシリーズ、1作目が作られたのが2008年でした。なかなか日本で公開される気配がないので、我慢しきれずに香港からDVDを買ったのが実に懐かしい。それから12年たってついに完結。実に感無量であります。

 次はインド映画。
『プレーム兄貴、王になる』(2020年)
 インド映画と言われた時に、誰もがイメージするであろう歌と踊りに彩られた、懐かしささえ感じるオーソドックスなスタイルのインド映画。最近は新しいタイプのインド映画ばかり観ていたので、たまにこういう作品を観ると、妙に嬉しくなってしまう。
 実は『バジュランギおじさんと、小さな迷子』も2020年になってから観たのだけれど、さすがにいまさら選ぶのも恥ずかしいので、「プレーム兄貴」の方にしておきました。

『ガリーボーイ』(2019年)
 以前、『リスペクト』というラップを題材にしたフィリピン映画を観ていて、そこで描かれていたラップバトルに興奮させられたのだけれど、その興奮が甦る作品でした。こういう作品を観ると、なるほど、インド映画もいつまでも昔のスタイルで歌い踊っているばかりじゃなくなるわけだと、妙に納得させられます。

 そして最後の1本は韓国映画。
『神と共に』(2019年)
 いやあ、なにこのスケールのでかさ。普通、こんな映画の企画、通らないでしょ。それが通ってしまうのがいまの韓国映画の底力なのでしょうね。中川信夫の『地獄』をひたすらスケールアップしたような作品に、とにかく圧倒されました。

 で、番外編としてこの作品。
『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(2020年)
 テレビシリーズあってこそのこの劇場版なので、映画版単独での評価はしづらいのですが、テレビシリーズとのリンクの仕方に泣かされました。ヴェイオレットちゃんに会えるのもこれが最後なのかと思うと、とっても寂しい。

 そして最後に企画賞。
「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」
 いやあ、よくぞ企画してくれました。いまさらジャン=ポール・ベルモンドの映画を劇場のスクリーンで観られるとは思ってもみなかった。
 個人的にはフィリップ・ド・ブロカ監督の『大盗賊』を観られたのが嬉しかった。クラウディア・カルディナーレって、こんなに可憐な女優だったんだ!
 第2弾の開催も決定しているようだけど、ぜひソフト化も進めてほしい。特に『おかしなおかしな大冒険』は山田康雄の吹き替えで観てみたい。

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