2017年度鑑賞まとめ 佐伯和哉

今年は、スクリーンでの鑑賞が133本(重複含めると156回)。概ね週三回は映画館に座っていたことになり、まずまずのペース。気に入った作品を並べていく。

【邦画】
『三度目の殺人』は結末のあいまいさも含めて傑作。答えを出さないことで観客それぞれの解釈を求めているのが良い。
『彼らが本気で編むときは、』では、これから真剣に向き合っていかなければいけないテーマを扱っており、生田斗真の本気が素晴らしい。
『心が叫びたがってるんだ。』は違和感なく実写化をできただけではなく、原作となるアニメよりも説得力が増した稀有な例。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は、エピソードが積み重なっていく毎に関連が明らかになって来る心地よさ。
『散歩する侵略者』は“概念”を集める宇宙人というプロットが面白い。集めた後何をしようというのかのヒントくらいは欲しかった。
『メアリと魔女の花』誰かの作品に似ているとかではなくて、子供向けの良質なアニメが必要だという想いが伝わる作品。
『劇場版 響け!ユーフォニアム 届けたいメロディ』は、TVシリーズを再構成した際の視点が素晴らしい。この作品は久美子というキャラクターの落ち着かなさ感がキモ。
『きみの声をとどけたい』は映画オリジナルの企画で、エリアFMというガジェットが元放送部員だった自分の琴線に触れた。

【洋画】
『ラ・ラ・ランド(LA LA LAND)』は恥じらわずにミュージカルに向き合い、古典的なテーマでありながらも時代を反映する展開が素晴らしい。
『LION ライオン 25年目のただいま(LION)』実話ベースの映画化で、知らない世界の常識を垣間見せてくれる感動作。タイトルの意味が明かされるタイミングが素晴らしくて泣かされる。
『否定と肯定(DENIAL)』では、歴史へどう向き合えばいいのかを考えさせられる、自虐も無視も良くない。
『ヒトラーに屈しなかった国王(THE KING'S CHOICE)』は、君主とは何だろうと考えさせられる作品。生まれでなるのではなく、行いでなるのだということを改めて認識できる。そして、ナチが差し伸べた“救いの手”に対する態度が、いかなる理由でも侵略は侵略なのだと改めて考えさせられる。
『人生はシネマティック!(THEIR FINEST)』はエンディングエピソードでどっと泣かせてくれる。映画作りは本当にドラマだ。
『ブレードランナー2049(BLADE RUNNER 2049)』小学生のころに夢見た21世紀は来なく、リドリースコットの描く未来像には打ちのめされた。これもSF永遠のテーマを正面から描いた秀作。
『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(LO CHIAMAVANO JEEG ROBOT)』超人的な力を手に入れたチンピラと、ヒーローを夢見る精神障害をもつ娘の交流。とにかく熱い!
『お嬢さん(THE HANDMAIDEN)』あまり知ることのできない、日本による占領下の韓国人のたくましい生き方。
『セブン・シスターズ(WHAT HAPPENED TO MONDAY?)』200年後くらいに実現しててもおかしくはない世界であり、ノオミ・ラパスの頑張りに拍手。
『わたしは、ダニエル・ブレイク(I, DANIEL BLAKE)』重たく暗い話だけど、気の利いた脚本と演出でうまく見せてくれる作品。日本の待機児童問題などにも通じる、誰にぶつければいいのかわからない怒り。
『沈黙 サイレンス(SILENCE)』人間を人間たらしめているもののひとつが宗教であり、世界の対立を除去できない理由の一つでもあることを改めて考える。
『人生タクシー(TAXI) 』これぞ映画人の鏡。映画製作を禁じられても、タクシーの運転手を装い車載カメラ映像を編集して社会を風刺する。

【番外編】
『ノー・エスケープ 自由への国境(DESIERTO)』この作品で、自主的に国境を守るオヤジは本当に“愛国者”であり、この感覚は地続きの国境を持たない国の国民には分からないのかもしれないが、わからなくて本当に良かった。

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