2019年 マイ・シネマ ベスト10 飯田 眞由美

2019年も大小様々な映画を観ることができました。東京ほどではないけれど、電車で4,50分も移動すれば、どこかの街の映画館で好みの作品に会えるのは、神奈川県の地の利の良さかな。

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(C)2017 Inkpot Films Private Limited,India

第10位は『あなたの名前を呼べたなら』。このタイトルだと、好きな人の名前を呼びたい女性の姿が浮かぶのだけど、主人公の女性は自分の生活や実家への仕送りを考えると、雇主を名前で呼ぶなんて死活問題なのでとんでもないこと。ロマンチックな邦題よりは原題の“SIR”のほうが、格差の関係を現わしていてしっくりきました。

第9位は『私はマリア・カラス』。マリアがカラスを語った映画。最後に流れる歌は、私の大好きな「わたしのお父さん」。いつもアンコールで歌っていた曲だとか。

第8位には『僕たちは希望という名の列車に乗った』。青春ドラマにサスペンスと政治不安を混ぜたら、年代を問わずに夢中になれる作品ができました、というところ。

第7位は『マリッジ・ストーリー』。アダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソン演じる夫婦の、離婚が完結するまでを描いた作品。大げさな筋書きはないけれど、俳優たちの存在感が光っていました。

第6位は『THE GUILTY ギルティ』。緊急通報を管制するある警察官が、通報電話の音声のみで被害者を救出しようとするサスペンスと思いきや、最後には二つのストーリーのどんでん返しが待っているデンマーク映画。

第5位『ビリーブ 未來への大逆転』、4位『RBG 最強の85才』はともに米国の現役最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグを主人公にした作品。『RBG』はドキュメンタリー。勇気をもらうだけじゃなく、結婚の本質も味わったりできます。

第3位には『パリの家族たち』をいれました。この日本語タイトルは宜しくない。
幾人かの女性の日々の暮らしから、生きること産むことを正面から取り上げている。家族という括りではなく、ひとりの人間として生きることを実感できる作品だから。

第2位は『天国でまた会おう』。戦争の中で知り合った男二人の数奇な運命が、戦争の愚かさを描きつつ、悲劇、喜劇、映像美まで楽しませてくれる素晴らしい1本。

そして栄えある第1位は『メランコリック』に決定しました。低予算で作られたことがクローズアップされますが、サスペンスあり、友情あり、喜劇も裏社会の恐さも一度に味わえ、観終わった後はなんだかスッキリ。こんなお得な映画はそんなにしょっちゅうお目にかかれるものではありません。
2020年もいい映画が待ってるよと、2019年のベスト10が映画館行きをプッシュしてくれました。

順不同で沢山 長谷

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(C)2019 こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(日本・アニメ)
『家族を想うとき』(イギリス)
『真実』(フランス、日本)是枝裕和監督
『幸福路のチー』(台湾・アニメ)
『台湾、街かどの人形劇』(台湾・ドキュメンタリー)
『チェリー・レイン7番地』(香港・アニメ)
『ホテル・ムンバイ』(オーストラリア・アメリカ・インド)
『金子文子と朴烈』(韓国)
『共犯者たち』(韓国)
『工作 黒金星と呼ばれた男』(韓国)
『国家が破産する日』(韓国)
『東京裁判』(日本・ドキュメンタリー)
『主戦場』(日本・ドキュメンタリー)
『新聞記者』(日本)
『i 新聞記者ドキュメント』(日本・ドキュメンタリー)
『ブラック・クランズマン』(アメリカ)
『バイス』(アメリカ)
『RBG 最強の85才』(アメリカ・ドキュメンタリー)
『ビリーブ 未来への大逆転』(アメリカ)
『おしえて!ドクター・ルース』(アメリカ・ドキュメンタリー)

意外にもまだ筋を覚えている映画が20本もあるのに我ながらビックリしてます。
ベスト10に絞らず申し訳ありません。