横浜キネマ倶楽部 第83回上映会『フジコ・ヘミングの時間』(4/26)

横浜キネマ倶楽部より、第83回上映会のお知らせをいただきました。

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.上映作品『フジコ・ヘミングの時間』

フジコ・ヘミングさん一周忌追悼上映
小松莊一良監督の講演決定!!
世界を魅了する魂のピアニスト。
美しい音色はいかにして生みだされるのか―――

◆日時:2025年4月26日(土)
 上映:13時00分~14時55分(12時30分 開場) 
 講演:小松莊一良監督(本作品の監督):15時00分~16時00分

◆場所:横浜市南公会堂http://www.minami-kokaido.jp/

【作品概要】
『フジコ・ヘミングの時間』
2018年/日本/115分/ブルーレイ上映
出演:フジコ・ヘミング、大月ウルフ ナレーション:三浦透子
企画・構成・撮影・編集・監督:小松莊一良

【解説】
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幼少時に別れたスウェーデン人の父への複雑な想い、ピアニストの母からの厳しいレッスン、ハーフへの差別、貧しい留学生活、音楽の成功を目前にした聴力の喪失など、撮影中のインタビューと少女時代
の絵日記を通して語られるのは、波乱万丈の人生。どんな時も夢をあきらめず前に進み続けたフジコが、あるエピソードを通して、今再び家族への思いを噛みしめる―――。
シネジャ作品紹介 http://cinemajournal-review.seesaa.net/article/460023044.html


◆入場料:一般:1,300円(前売1,000円)

◆入場券・チケット販売方法
 (1)入場券販売場所
   有隣堂伊勢佐木町本店、高橋書店(元町)、いづみ書房、ジャック&ベティ(黄金町)、横浜シネマリン(長者町)、岩間市民プラザ(天王町)
 (2)チケットぴあ Pコード:554-806)(購入は4月25日まで)
  https://t.pia.jp/pia/search_all.do?kw=554806

★問い合わせ:080-2554-8023(10~18時)おかだ

主催:横浜キネマ倶楽部 ⇒ https://ykc.jimdofree.com/
後援:横浜市教育委員会
担当:横浜キネマ倶楽部 岡田明紀(090-9373-7559 / akino@yk.rim.or.jp)



2024年映画ベストテン 加藤久徳

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(C)2024「九十歳。何がめでたい」製作委員会 (C)佐藤愛子/小学館

邦画ベストテン (順不同)

『九十歳。何がめでたい』
『碁盤斬り』
『はたらく細胞』
『ゴールド・ボーイ』
『52ヘルツのクジラたち』
『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』
『Cloud』
『化け猫あんずちゃん』
『カラオケ行こ!』

●監督賞 白石和彌『碁盤斬り』
●主演男優賞 岡田将生
『ゴールド・ボーイ』『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』
●主演女優賞 草笛光子『九十歳。何がめでたい』
●助演男優賞 志尊淳『52ヘルツのクジラたち』

洋画ベストテン (順不同)

『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』
『落下の解剖学』
『関心領域』
『2度目のはなればなれ』
『ファースト・カウ』
『哀れなる者たち』
『ドリーム・シナリオ』
『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』
『アイアン・クロー』
『ホールド・オーバーズ 置いてけぼりのホリディ』

●監督賞 マルコ・ヴェロッキオ
『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』
●主演男優賞 マイケル・ケイン
『2度目のはなればなれ』
●主演女優賞 グレンダ・ジャクソン
『2度目のはなればなれ』

個人部門を設けたのは草笛光子を主演女優賞にしたかったから。もはや大御所だが、この人映画で主役をやったことはないはずだ。実にめでたい。しかも主演2作目が公開されるなんて。やっぱり、めでたいな。
その反対は洋画でのマイケル・ケインとグレンダ・ジャクソン。ケインは草笛と同年(1933年)生まれだが、生まれは少し早い。役柄のせいとはいえ、この映画『2度目のはなればなれ』は、試写も組まれなかった。ひっそりと公開されただけマシでめでたさはどこにもなかった。でも心にしみるものがあった。

東京アニメアワードフェスティバル2025

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©TAAFEC. All Rights Reserved.
イラスト:本田雄

◆東京アニメアワードフェスティバル2025
期日:2025年3月7日(金)~10日(月)4日間
会場:池袋 Hall Mixa、池袋シネマ・ロサ、TOHOシネマズ池袋など
主催:東京アニメアワードフェスティバル実行委員会、一般社団法人日本動画協会
共催:東京都
料金:チケット作品により異なります。
前売り券 PassMarketにて販売(上映前日23:59まで)当日券は200円増し
公式サイト:https://animefestival.jp/ja/ 

★プログラム
 
コンペティション部門 長編アニメーション
『ボートインザガーデン』(A Boat in the Garden)
  ルクセンブルク フランス/2024年/1:15
『クラリスの夢』(Clarice's Dream)
  ブラジル/2023年/1:23
『アンジェロと不思議の森』(Into the Wonderwoods)
  フランス/2024年/1:22
『ペリカンブルー』(Pelikan Blue)
  ハンガリー/2023年/1:20
コンペティション部門 短編アニメーション
スロット1 家族向け 9作品
スロット2 中学生以上向け 10作品
スロット3 成人向け 7作品


■招待作品
・日本アニメーション創業50周年記念
 世界名作劇場より『小公女セーラ』&トークショー
・TAAF2025『Flow』特別上映会
 ラトビア、フランス、ベルギー/2024年/1:25:00
 3月7日(金)19:00~20:25 
 TOHOシネマズ 池袋にて先行上映
 ★【TAAFオンライン】『Flow』上映記念特別対談 ギンツ・ジルバロディス×友永和秀
https://www.youtube.com/watch?v=3-RYMG_MTRI&t=45s
受賞決定
◆学生賞 『ヨビとアマリ』
◆アニメ功労部門 顕彰者
岩崎正美(プロデューサー)
吉井孝幸(プロデューサー)
友永和秀(アニメーター)
野中幸子(色彩設計)
鈴木清司(音楽監督)
堀内賢雄(声優)
◆TAAF2025 アニメ オブ ザ イヤー部門
 作品賞 ★劇場映画部門『ルックバック』
    ★TVシリーズ部門『葬送のフリーレン』
◆TAAF2025 アニメファン賞
 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

【国立映画アーカイブ】上映企画   日本の女性映画人(3)――1990年代

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【国立映画アーカイブ】上映企画  
日本の女性映画人(3)――1990年代
Women Who Made Japanese Cinema [Part 3]: 1990s

会期: 2025年2月11日(火)―3月23日(日)※月曜休館
会場:国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU[2階]
定員:310名(各回入替制・全席指定席)
   各回の開映後の入場はできません。
主催:国立映画アーカイブ
企画協力:森宗厚子

料金:一般520 円、 高校・大学生・65 歳以上 310 円、小・中学生100 円、障害者手帳をお持ちの方(付添者は原則1名まで)・国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料

★チケット、スケジュールなど詳細はHPをご覧ください
HP https://www.nfaj.go.jp/film-program/women202502/

2023年度の「日本の女性映画人(2)―1970-1980年代」に続き、その功績を回顧する特集上映を開催します。
 1980年代以前の日本の映画界では、俳優出身の女性監督が台頭し、また記録映画やピンク映画の分野では多くの作品を発表する女性監督の活躍も見られた一方で、一般劇映画の作り手として女性監督がキャリアを築いていくのは困難であり、1990年代にようやく継続的に作品を発表する監督が目立つようになりました。つまり、1990年代は、日本映画史において女性が監督を「職業」とし始めた最初の時代であったといえます。
本特集では、1990年代前後の作品を含め、劇映画、ドキュメンタリー、実験映画、アニメーションなど計52作品(37プログラム)を上映し、それぞれの女性映画人を顕彰するとともに、日本映画史を見据える新たな視点を提示します。

*見どころ*
▼メジャーでインディーズで…映画監督を「職業」とする女性たちの登場
海外留学を経て長篇監督デビューを果たした山﨑博子や佐藤嗣麻子、CMディレクターを経て映画監督となった松浦雅子は、
大手映画会社のもとで拡大公開される作品を手がけた女性監督の先駆として特筆すべき存在です。一方、ぴあフィルムフェステ
ィバル(PFF)で頭角を現し、ロッテルダム国際映画祭で受賞した風間志織、個人映画で注目を浴びたのち長篇監督デビュー
作によりカンヌ国際映画祭で受賞した河瀨直美など、インディーズ的才覚を持った女性映画作家も国内外で高く評価されまし
た。

▼個人映画・実験映画の分野で活躍した女性作家たち
1990年代には、イメージフォーラム・フェスティバル(IFF)など個人映画・実験映画の発表の場を通じて、多くの女性映像
作家たちがそれぞれ独自の個性を発揮しました。本特集では、80年代から映像制作を行っていた小口詩子、大学在学中より
身体表現と映像制作を行い、初作品でIFFに入選した和田淳子、幻想的かつブラック・ユーモアの効いた世界観を展開した寺
嶋真理、身体と容姿にまつわる関心を突きつめることで「自己と他者」の関係を探求した歌川恵子らの作品を取り上げます。ま
た、次の世代につらなる先駆的な自主映画・実験映画を手がけた1990年代以前の女性映画人の作品として、道下匡子と鵞
樹丸の作品も上映します。

▼1990年代の潮流に寄与した映画プロデューサーの活躍
阪本順治監督作品を長年にわたって支えてきた椎井友紀子や、原将人『20世紀ノスタルジア』(1997)の製作のきっか
けをつくった佐藤美由紀、映画美学校の立ち上げにも参加した松田広子、夫の小川紳介が残した記録フィルムをもとにした作
品『満山紅柿』(2001)をプロデュースした白石洋子など、1990年代は女性の映画プロデューサーが次々に頭角を現した時
代でもあります。本特集では、これらの作品が同時代に与えたインパクトと現在に至る影響を再検証します。

上映作品(37プログラム、計52作品)
◆監督◆
山﨑博子『ぼくらの七日間戦争2 』1991
佐藤嗣麻子『エコエコアザラク Wizard of Darkness』 1995
『K-20 怪人二十面相・伝』2008
松浦雅子 『人でなしの恋』1995
     『PLATONIC SEX NEW』2001
風間志織 『冬の河童』1995
『火星のカノン』2002
『せかいのおわり』2004
奈良橋陽子 『WINDS OF GOD』1995
髙山由紀子 『風のかたみ』1996
河瀨直美『萌の朱雀』1997
松井久子『ユキエ』1998
合津直枝 落下する夕方 1998 合津直枝
浜野佐知 『第七官界彷徨 尾崎翠を探して』1998
吉行由実『発情娘 糸ひき生下着』1998
小谷内郁代『境界線の向こう側 』1998

◆監督(ドキュメンタリー)◆
栗原奈名子/山上千恵子/瀬山紀子
『ルッキング・フォー・フミコ』1993 栗原奈名子
『30年のシスターフッド 70年代ウーマンリブの女たち』2004 山上千恵子、瀬山紀子
羽田澄子『女たちの証言—労働運動のなかの先駆的な女性たち』1996
熊谷博子『映画をつくる女性たち』 2004

◆監督(アニメーション)◆
四分一節子『雪渡り NEW』 1994
山田火砂子『エンジェルがとんだ日』1995

◆監督(自主映画/個人映画/実験映画)◆
小口詩子『小口詩子のおでかけ日記』1988
    『 ばら科たんぽぽ』 1990
    『眠る花』1991
和田淳子『閉所嗜好症』1993 
    『桃色ベビーオイル』1995
寺嶋真理『緑虫 』1991
    『女王陛下のポリエステル犬』1994
歌川恵子『みみのなかのみず』1993
    『超愛人 』1994
    『カルデラ姫』1995
道下匡子『Cherry Blossoms』1975
    『in my home townⅠ』1976
    『in my home townⅡ』1976
    『in my home townⅢ』1976
鵞樹丸『わらじ片っぽ』1976

◆脚本◆
吉村元希『夢の女』1993 坂東玉三郎
信本敬子『ナースコール』1993 長崎俊一
奥寺佐渡子『学校の怪談』1995 平山秀幸
森下直『誘拐』1997 大河原孝夫
神山由美子『OL忠臣蔵 1997 原隆仁
西田直子 『多淫OL 朝まで抜かないで』2000 女池充
    『姉妹OL 抱きしめたい』2001 田尻裕司
本調有香『blue』2003 安藤尋

◆製作◆
椎井友紀子 『ビリケン』1996 阪本順治
松田広子『どこまでもいこう』1999 塩田明彦
佐藤美由紀 『20 世紀ノスタルジア』1997 原将人
白石洋子 『満山紅柿』2001 小川紳介、彭小蓮

◆その他◆
浅梨なおこ『ケルベロス 地獄の番犬』1991 押井守
黒澤和子/野上照代 『まあだだよ』
芦澤明子/万田珠実『Unloved』2002 万田邦敏

2024年 ベスト映画  米原 弘子

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(C)2024「ベイビーワルキューレ ナイスデイズ」製作委員会

【邦画】
①ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ
シリーズものは、手の内が見えて鼻白むこともあるのだが、まったくそんなことはなく、いったいどこまで進化するのだろうと感服するのみ。今回は池松壮亮の投入が成功の一つで二人ともこんなに動けるのかと驚いた。前田敦子と高石あかりの世代間ギャップについての丁々発止のやりとりも楽しく前田の受け演技の上手さに唸る。

②Chime
怖いと聞いていたがまさかこういう話だったとは。人はなぜ狂ってしまうのか。最近起きた事件を思い出し、絵空事ではなくこの世界と地続きなのだと思わせられ本当に恐ろしかった。それにしても吉岡睦雄、神経に触る声といい何を考えているのかわからない能面のような顔といいよくこんな凄い役者がいたものだ。

③ナミビアの砂漠
ホームビデオのような手ブレと正方形のスタンダードな画角に21歳女性の日常を覗き見しているような感覚に陥る。鬱屈した日常に飽き飽きしながら本能のままに動く究極の自己チュー女、そんな自分を冷静に俯瞰する主人公を河合由実が凄まじいエネルギーで演じている。末恐ろしい。

④夜明けのすべて
“人は見かけによらない”という言葉どおり、平穏に過ごしているように見えても人は何かしら事情を抱えて生きていて、特に表には見えにくい病気だとその苦しみはいかほどかと思う。それでも暗闇の中の星のように寄り添い見守ってくれる人がいる。きっと夜明けはくるという多幸感に満たされた。

⑤カラオケ行こ!
原作は未読。中学生が心を開き、ヤクザとの絆を深めていく過程が可愛くて優しくて、、、トンデモ設定に笑っていつのまにか泣かされていた。喪失と再生の物語でもある。主演の少年を盛り立てながら自身の魅力を炸裂させる綾野剛はやはり凄い役者。「紅」良い曲だなぁ。

⑥碁盤斬り
夜の闇にゆらめく蝋燭の灯り、浮かび上がる陰影ある人物の表情、月夜に照らされる街並みなど暗さにこだわった撮影が素晴らしく江戸の町にさまよいこんだ感覚になる。碁石のように白黒で決着をつけられないのが人間の業。強さと弱さを体現した草彅剛の上手さに舌を巻いた。

⑦侍タイムスリッパー
期待を超える面白さ!実直で心の葛藤は決して表に出さず、一本気でありながら周囲への気配りは忘れない新左衛門がとにかく魅力的。演じる山口馬木也の面構えは必見!時代劇役者はこうあるべし!ラスト、侍の誇りを賭けた文字通り真剣勝負に鳥肌が立つ。

➇Cloud クラウド
転売ヤーの因果応報、自業自得、身から出た錆物語。前半、主人公の周囲が増悪の空気でどす黒く膨らんでいく気配に戦慄。バスのシーンでは思わず声が出そうになる。得体のしれない魅力を醸し出す菅田将暉と窪田正孝の上手さは言わずもがな、芸達者な奥平大兼に目が離せなかった。

⑨ぼくのお日さま
『ナミビアの砂漠』と同じく正方形のスタンダードな画角で画質もフィルムっぽいザラっとした感じ。光がより柔らかくこちらに届いた。美しさ優しさの中に残酷の種が内在する日常。心が折れそうになってもお日さまが雪を溶かし春が訪れるように必ず一歩を踏み出せる、そんな希望が見えるラストに涙。

⑩サユリ
想像の斜め上を遥かに飛んでいく映画を観てしまった。恐怖のどん底へ突き落されてからの、まさかの明日の活力につながる展開になろうとは!お化けにつけ込まれない秘訣はよく笑いよく食べ体を鍛えて命を濃くすること。陰陽バランス良く!座右の銘にしたい。

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【外国語映画】
①ファースト・カウ
この映画を鑑賞した昨年の1月で今年の№1と確信。信じ合うことが唯一生きる術だった二人。そんな彼らの結末は冒頭で知ることになるが、いっそう愛おしく、幸せを願わずにはいられなかった。心の柔らかな部分を掴まれたような、、今もふと二人のことを考えてしまう。

②ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
クリスマス休暇に帰る場所がない、心に深い傷を持つ3人。年齢や立場、境遇の違う彼らが穏やかに少しずつ距離を詰めていく様子がしみじみと切なくて優しい。戦死した息子に対する喪失感を抱えながらも自身の人生を進んでいくダヴァイン・ジョイ・ランドルフ演じる料理長が特に心に残った。

③本日公休
長年理容店を営む女性が、恩のある常連客のために店を休んでその人が住む町に向かう。自分はもちろん他者の生き方も否定せず、どんな状況でも思いのままに生きるヒロインの姿に勇気づけられる。私自身、人生の後半を迎え、指針ともなる作品に出会えた。

④オーメン:ザ・ファースト
半世紀を経て、ダミアン出生の秘密が明かされる!ということで期待と不安半々だったのだが想像超えの面白さ。70年初頭、社会的に過渡期を迎えていた時代が彼を生み出した土壌となっていて、"今"とも地続きであるという恐怖が実感として迫ってくる。ラストが最高!

⑤花嫁はどこへ?
ここに登場するどの女性たちの生き方も決して否定していないところが良かった。偶然の出会いがもたらした新しい考え方や価値観、自信が彼女たちの未来を明るく照らしてくれるに違いない。パンフにレシピが載ってたレンコンのサブジ、ぜひ作ってみたい。

⑥ソウルの春
当時日本の報道でゼントカンという名前だけは記憶しているが実際に何が起こっていたかは知る由もなかった。民主化に向けられる軍事反乱に心から戦慄するとともに国の暗部を真っ正面から抉ることができる韓国映画に改めて脱帽。ファン・ジョンミンの風貌と演技が凄すぎて腹立たしいほど。

⑦枯れ葉
不寛容な世界でささやかに生きる人たちが見せる優しさと希望。ヒロインが決してプライドを失わず凛としている様子に救われる。衣装やインテリアなどの北欧的色遣いがとてもオシャレ。悲しげでどこか悟りを開いたような表情のワンコが可愛い。カウリスマキ作品はやはり好きだなぁ。

➇ただ空高く舞え
もともと航空機自体、乗客の格差がはっきりと見える乗り物。その業界にカーストや貧富の差をものともせず、庶民にも空の旅を!と不屈の精神で試練の波を乗り越えていく男達の話なのだから熱くならないわけがない。
夫婦の描き方も新鮮で良かった。妻役のアパルナー・バーラムラリは気概があって芯が通っている役柄がピッタリ。彼女の作品はこれからも追っていきたい。

⑨無名
1940年代の上海を舞台にしたスパイ・ノワール。序盤は行きつ戻りつする時系列に少々混乱するが、気が付くと二転三転する予測不能な展開にすっかり魅了されていた。色香と哀しみをまとい戦時中の闇に佇むトニー・レオンのなんと絵になることか。映像の構図、美術も素晴らしかった。

⑩密輸 1970
1970年代の漁村を舞台に犯罪に巻き込まれた海女さんたちの生きるためのバトル。機転が利き、肝が据わった女たちが汚職税関やヤクザに命がけで立ち向かう姿はカッコよくバックに流れる歌謡曲も効果的。海女さん達が水中から顔を出した時の口笛は磯笛といって肺に残っている空気を出し切るためのテクニックだそう。音により自分の居場所を仲間に知らせることもできるという、なるほど!

以上ベスト10のほかに
一昨年、昨年と同様私にはどうしても順位がつけられなかった作品として『2つの愛が進行中』『サルカール』『ザ・フェイス』『ストリートダンサー』『PS1 黄金の河』『PS2 大いなる船出』『サラール』『ジガルタンダ』『ジガルタンダ・ダブルX』『カッティ』『リシの旅路』、そして『JAWAN/ジャワーン』のインド映画12本を挙げておきます。